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今月の臨床 着床 胚移植の技術と着床
5.胚のQualityと着床
著者: 北井啓勝1 稲垣昇1
所属機関: 1社会保険埼玉中央病院産婦人科
ページ範囲:P.76 - P.79
文献購入ページに移動 体外受精の成功率は,採卵,受精,胚培養,移植の各操作手技とともに,卵子,精子および胚の発育能,そして子宮とそのホルモン環境に依存している,最近では,GnRHの併用により採卵率は向上し,顕微受精法を用いて受精率が増加し,移植胚数を3個以下に制限することで多胎の問題も減少の傾向にある.しかし,妊娠の継続率は胚移植から超音波画像による妊娠判定までの期間,すなわち着床の過程の前後において大きく減少する.1994年までのわが国の集計によると体外受精後に移植された胚の85%,GIFTで卵管内に移植された卵の74%は妊娠成立に至らない(図)1).
移植後の胚の消失には,胚のqualityを中心とする胚側の因子,子宮内膜を含む母体側の因子,および両者の相互作用の3者が関与する.胚のqualityは,臨床上おもに形態学的に判断されているが,この背後には,染色体異常,遺伝子異常,細胞小器官の異常,細胞内諸因子の異常などの存在が推定される.これらの異常は,年齢,ホルモン環境,受精のタイミングなどに影響される.
移植後の胚の消失には,胚のqualityを中心とする胚側の因子,子宮内膜を含む母体側の因子,および両者の相互作用の3者が関与する.胚のqualityは,臨床上おもに形態学的に判断されているが,この背後には,染色体異常,遺伝子異常,細胞小器官の異常,細胞内諸因子の異常などの存在が推定される.これらの異常は,年齢,ホルモン環境,受精のタイミングなどに影響される.
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