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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科51巻1号

1997年01月発行

文献概要

症例

長期残留した子宮内異物除去後,妊娠に至った1症例

著者: 三宅敏一1 平野浩紀1 渡辺広史1 幡洋1 岡部泰樹1 野村靖宏1 南邦弘1 金上宣夫1 山本哲三1

所属機関: 1札幌東豊病院産婦人科

ページ範囲:P.109 - P.111

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 症例は1年前に他院で流産処置を受けた後妊娠せず,月経不順および挙児希望にて来院した31歳の患者である.経腟超音波にて子宮腔内に胎嚢様像を認めたが,尿HCG定量10IU/l以下であったため,子宮内容除去術を施行し異物を確認,除去した.異物はダイラパンであった.後日,経腟超音波では遺残は認めなかった,患者は約8か月後妊娠し,現在妊娠12週で経過はほぼ順調である.
 ダイラパンは安全に短時間で子宮頸管を拡張できるので,患者の入院を必要としない点でも有用である.しかし,一方,急速に頸管を拡張するため内子宮口が十分熟化(軟化)されず,強引に牽引すると破損しやすいのが最大の欠点である.破損したダイラパンは長期にわたり残留し,不妊や感染の原因になりうる.ダイラパン使用および抜去にはその適応も含め細心の注意が必要である.また掻爬後少なくとも数回の診察で遺残のないことを十分確認することも重要であると思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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