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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科51巻10号

1997年10月発行

文献概要

今月の臨床 妊娠初期を診る 初期異常への対応

9.性病

著者: 阿部史朗1

所属機関: 1東京都立大塚病院産婦人科

ページ範囲:P.1104 - P.1107

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 ここでは,広く妊娠に関連したSTD(sexuallytransmitted diseases)について,当院における妊婦管理を中心に述べる.表11)にSTDの種類を示す.
 感染症には,母児垂直感染により児に感染したり,妊婦が感染したため子宮内発育遅延・奇形などの原因として胎児に影響する疾患がある.また,一般に妊婦では非妊娠時に比べると血中免疫グロブリン,とくにIgG・IgA濃度が低下しているといわれている.細胞性免疫についても末梢血リンパ球の反応性は低下し,NK (natural killer)細胞・K細胞は減少しているといわれている.これらは免疫学的妊娠維持機構のうえでは好都合であるが,妊婦にとってはウイルス感染症にかかりやすく,かつ感染すると重症化しやすいこととなる.一方,胎児についてはIgGは母体から胎盤を通過して胎児に移行し,またLAK (lymphokineactivated killer)細胞は16〜19週で機能が完成すると考えられている.しかし,NK細胞の活性は低く,T細胞・B細胞についても未熟であり,細菌感染・ウイルス感染には抵抗力が弱い.以上より妊婦については感染症に注意する必要があり,感染が明らかな症例に対しては母児間の感染への対策を検討しておく必要があることがわかる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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