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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科51巻11号

1997年11月発行

今月の臨床 男性不妊をどうする

Overview

1.最近の男性不妊の動向—産婦人科の立場から

著者: 星和彦1 小川恵吾1

所属機関: 1山梨医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1140 - P.1143

文献概要

 日常,不妊症の診療に携わっていると,不妊症患者のうち男性因子の患者が多いことに少なからず驚かされる.また,しばしば男性因子の患者の治療方針に苦慮させられる.不妊症において男性因子が関与している割合は一般に40〜50%といわれているが,実際はもっと多いのではないかと思えてくる.1996年1月から1997年4月までに当科不妊外来に登録された患者の精液検査において,精子所見に異常を認めた(WHOの提唱する正常値を下回った)患者は,132人中じつに81例(61.8%)にものぼった.
 WHOの正常精液所見を表1に示すが,1987年の基準に比べて正常形態精子の割合は「50%以上」から「30%以上」と変更されている1,2).正常形態を示す細胞が30%,言え換えれば形態異常細胞(奇形細胞)が70%含まれていても正常とする規定は他の組織では考えられない.表1にWHOが正常値を提唱する以前の値も種々の専門書から抜き出して記載したが,形態正常精子だけでなく精子濃度や精子運動率の正常値も以前に比べて相当低値に設定されている.これはとりもなおさず,男性の妊孕能の世界的なレベルダウンを意味しており,それを裏づけるような報告をいくつかの文献のなかにみることができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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