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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科51巻12号

1997年12月発行

今月の臨床 子宮筋腫—最新情報

病因・疫学

1.組織発生

著者: 折井文香1 二階堂敏雄1 藤井信吾1

所属機関: 1信州大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.1248 - P.1251

文献概要

●はじめに
 子宮の平滑筋に非常に類似した間葉系細胞で構成される子宮筋腫は,婦人科領域で最も発生頻度の高い良性腫瘍である.子宮筋腫を構成する細胞には筋特異的アクチン,ミオシン,細胞骨格フィラメントなどの筋細胞に関係の深い遺伝子が発現している.また,グルコース6燐酸脱水素酵素のアイソザイム1)やアンドロゲン受容体のDNA2)の検討から,同一子宮内に発生した複数個の筋腫はそれぞれ異なった細胞を起源とするモノクローナル発生であることがわかってきた.近年,子宮筋腫に関する治療法はかなり進歩してきたが,子宮筋腫が悪性化するか否かについての結論がでていないためか,いまだにこの疾患では子宮全摘出術の適応が多い.この現状を改善するために,手術に代わる治療法の検討や子宮筋腫の発生予防などの観点から本腫瘍の生物学的特徴や組織発生に関する研究成果が蓄積され始めたといっても過言ではない.したがって本稿では最近の子宮筋腫の生物学的特徴の文献的考察に加えて,現時点で筆者らが考えている子宮筋腫の発生起源および発生機序について考察したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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