文献詳細
文献概要
CURRENT RESEARCH
生殖生理とマクロファージ
著者: 片渕秀隆1 岡村均1
所属機関: 1熊本大学医学部産科婦人科学
ページ範囲:P.1339 - P.1350
文献購入ページに移動 私がマクロファージの研究の端緒に着いた1980年代前半は免疫学研究の最盛期で,マクロファージは貧食という特異な機能を有する一方で,主に炎症や腫瘍という病的状態で活動する免疫担当細胞として認識されていた.しかし,マクロファージは個体発生初期の段階にすでに存在し,臓器や組織の形成の一翼を担うとともに,例えば肝臓のKupffer細胞,骨の破骨細胞や神経組織の小膠細胞のように,正常の臓器や組織にも広く存在し,生体の恒常性維持にも活躍している細胞であるという報告がその後多くなされてきた.さらに時期をほぼ同じくして,サイトカインの概念が生まれ,生体の各所でそのネットワークを形成し,その中心的な細胞としてマクロファージは新たな注目を集めている.
われわれはこれまでに,ヒト胎盤絨毛にみられるHofbauer細胞の観察に始まり,女性生殖臓器の各器官に存在するマクロファージについて,細胞の機能を探求するうえで礎となる形態学的観察をヒトの材料を用いてまず行い,さらには種々の材料や手法を駆使して各々の機能を追求してきた.その結果,女性生殖臓器においてもマクロファージは広くかつつねに存在し,それぞれの器官で合目的的に変化し,機能の一部を担当する細胞であることが次第に明らかになってきた.
われわれはこれまでに,ヒト胎盤絨毛にみられるHofbauer細胞の観察に始まり,女性生殖臓器の各器官に存在するマクロファージについて,細胞の機能を探求するうえで礎となる形態学的観察をヒトの材料を用いてまず行い,さらには種々の材料や手法を駆使して各々の機能を追求してきた.その結果,女性生殖臓器においてもマクロファージは広くかつつねに存在し,それぞれの器官で合目的的に変化し,機能の一部を担当する細胞であることが次第に明らかになってきた.
掲載誌情報