文献詳細
文献概要
今月の臨床 妊娠中毒症—どのように変わったか トピックス
3.AT-III, Heparin療法によるIUGRの胎内治療
著者: 寺尾俊彦1
所属機関: 1浜松医科大学産婦人科
ページ範囲:P.302 - P.304
文献購入ページに移動 妊娠中毒症の病態にはきわめて多数の要因が関与していていまだ判然としないが,血管の攣縮,および慢性DIC(播種性血管内凝固症候群)と判断されるような血液凝固学的変化がみられることは事実である.血管の攣縮と血液凝固学的変化とが連動して全身的にも,局所的にも多様な病態を引き起こす.全身的な血管の攣縮は高血圧を惹起し,子癇においては脳動脈の攣縮,HELLP症候群においては肝動脈が攣縮,IUGR (子宮内胎児発育遅延)では子宮動脈の攣縮がみられる.子宮動脈の攣縮は胎盤血行を障害し,IUGRの原因になる.
妊娠中毒症にみられる血管の攣縮にはつねに血液凝固学的変化を伴っている.血管内でthrom—binが産生されると血管内皮に存在するthrom—bin recepterの一部を分解してthrombin rece—pterの構造を変化させ,その結果,細胞内刺激伝達系を介して血管平滑筋の収縮物質を産生させるため,血液凝固学的変化が血管の攣縮や高血圧の一因になっていると考えられる.
妊娠中毒症にみられる血管の攣縮にはつねに血液凝固学的変化を伴っている.血管内でthrom—binが産生されると血管内皮に存在するthrom—bin recepterの一部を分解してthrombin rece—pterの構造を変化させ,その結果,細胞内刺激伝達系を介して血管平滑筋の収縮物質を産生させるため,血液凝固学的変化が血管の攣縮や高血圧の一因になっていると考えられる.
掲載誌情報