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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科51巻6号

1997年06月発行

今月の臨床 治療困難例の排卵誘発

その他

3.排卵誘発で卵巣癌は増加するか

著者: 吉田耕治1 柏村正道1

所属機関: 1産業医科大学産科婦人科

ページ範囲:P.630 - P.631

文献概要

 卵巣癌の発癌過程は不明であるが,種々のリスク因子が報告されている(表1).未産婦に多く,経口避妊薬を服用すると少ないという疫学的調査からみると,卵巣癌の発生のリスクはその女性が排卵した回数に比例すると考えられ,排卵誘発剤の使用は卵巣の上皮性腫瘍の発生を増加させるかもしれない.
 Fauthalla(1971年)は1)過剰な絶え間ない排卵が続くことが上皮性卵巣癌の危険因子であると指摘しており,この説によれば,排卵時に卵巣表面に小さなtraumaが反復して生じそれが卵巣の上皮に癌性の変化を惹起する.したがって排卵誘発剤はこの変化を助長するので卵巣癌発生のリスクが上がると考えられる.とくにFSH(hMG)はエストロゲンと共に卵胞の顆粒膜細胞の増殖因子であり,borderline tumorである顆粒膜細胞腫の発生を助長することは十分に考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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