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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻1号

1998年01月発行

連載 産婦人科キーワード・2

術前補助化学療法

著者: 古本博孝1

所属機関: 1徳島大学

ページ範囲:P.95 - P.95

文献概要

語源・歴史
 neo「新しい」,adjuvant「補助の」という言葉から構成されており,術前補助化学療法と訳される.すなわち癌に対する主治療である手術,放射線療法の前に化学療法を行う方法である.これに対して主治療の後に化学療法を追加する方法をadjuvant chemotherapy (補助化学療法)という(図).
 最初にneoadjuvant chemotherapy (NAC)という言葉を用いたのは,米国シドニーファーバー癌センターの内科医Frei E.(1982年)である.1960年代の癌治療における化学療法の役割は,もっぱら転移を有するような進行例や再発例に対する姑息的治療法でしかなかった.しかし,単剤から多剤併用へ,新しい抗癌剤の開発,支持療法の発達などにより奏効率が上昇し,1970年代には,手術後のハイリスク症例に対して後療法として化学療法を追加するadjuvant chemotherapyとしての有効性が確立した.1970年代後半になると,小児癌,頭頸部癌領域で術前補助化学療法の試みがなされるようになったが,Freiはこの方法を従来のadjuvant chemotherapyに対する新しいadjuvant chemotherapyとしてNACと呼んだのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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