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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻10号

1998年10月発行

今月の臨床 羊水

羊水の生物学

3.羊水と妊娠関連蛋白質

著者: 鈴木良知1 井坂恵一1 高山雅臣1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1244 - P.1249

文献概要

 羊水腔は,胎生7〜8日目に外細胞塊(栄養膜細胞層)と内細胞塊(外胚葉層)の間隙としてはじめて出現し,その中に羊水を満たすようになる.妊娠初期,とくに妊娠12週ころまで,羊水腔は羊膜を挟んで胚外中胚葉より形成された胚外体腔と接するが,羊水腔の増大とともに胚外体腔が消失し,卵膜で囲まれた羊水腔が子宮内腔をすべて占拠することになる.
 羊水の由来については,古くからさまざまな報告がなされているが,現在なお議論が続けられている.これまでに①絨毛膜盤・臍帯を介した胎児血管からの漏出,②胎児血管より胎児皮膚を介した水分の漏出,③胎児尿の羊水腔内への排出,④肺胞液の気管支・気管を通っての羊水腔への排出,⑤羊膜上皮による分泌,⑥卵膜を介した母体血漿成分の漏出,などの機序が考えられている.これらのことより羊水中には母体由来,胎児由来,さらに胎盤由来のさまざまな物質が存在していることが理解されるが,これら羊水中の物質は胎児発育や胎児奇形などの胎児異常の指標として臨床応用されてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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