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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻12号

1998年12月発行

今月の臨床 内視鏡手術—どこまで進んだか

基本操作と基本手技

2.吊り上げ法

著者: 井坂恵一1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1476 - P.1480

文献概要

 吊り上げ法には,腹腔内に吊り上げ器具を挿入して腹壁を吊り上げる全層吊り上げ法1)と皮下に鋼線を挿入し腹壁を吊り上げる皮下鋼線吊り上げ法2)が現在までに報告されている.
 当教室では,1993年4月より皮下鋼線吊り上げ法を用いた腹腔鏡下手術を始めたが,その時点では婦人科腹腔鏡下手術に吊り上げ法を使用した報告はなく,良好な腹腔内視野を得るためにいかに最適に下腹部を吊り上げるかを模索していた.当初,われわれは橋本ら3)による吊り上げ法を参考にして,弓状に曲げた直径3mmの鋼線2本を下腹部の皮下に挿入し,腹壁を吊り上げる方法4)を行っていた.この方法は外観的にみるとかなりグロテスクではあったが,腹腔内の視野は良好であり,吸引や排煙による視野障害がない,縫合結紮が容易,麻酔への影響が少ないなど,気腹法にはないいくつかの利点を持っていた.しかし一方で,吊り上げ器具が腹壁上の空間を占領するため鉗子などの操作性が制限される,吊り上げ操作が繁雑であるなどの欠点があった.これらの欠点を改善するために考案された方法が,一点吊り上げ法5)である.われわれが一点吊り上げ法を始めて以来まる4年が過ぎ,その症例数もすでに500例をこえ,本法も確立された方法となりつつある.そこで本稿では,この一点吊り上げ法を用いた腹腔鏡下手術について,その基本操作と基本手技を中心に紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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