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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻12号

1998年12月発行

今月の臨床 内視鏡手術—どこまで進んだか

腹腔鏡下手術

4.子宮外妊娠の手術

著者: 林博章1 柳沼裕二1 石川睦男1

所属機関: 1旭川医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1510 - P.1513

文献概要

 子宮外妊娠は過去20年間で米国においては6倍以上,英国では約4倍の増加傾向にある.妊産婦の直接産科的死亡の主要原因であった子宮外妊娠の診断・治療は,過去10年間で著しい変化を遂げた.『母子衛生の主なる統計』によると,過去40年間で最も高頻度であった年度は1955年の21.6/出生105であったが,その後次第に減少傾向にある.血清β—hCGやプロゲステロン値の測定と経腟超音波検査を用いることで症状出現以前の妊娠5週前後に子宮外妊娠の診断が可能である.血清β—hCG値が1,500mIU/mlに達する最終月経から35日目ころに子宮内GSが経腟超音波検査で確認できる.子宮外妊娠の診断時期の早期化に伴って保存療法から根治療法まで幅広く治療法が選択できるようになった.1994年4月から腹腔鏡下手術が保険適用となり,診断・治療への本格的な普及が始まり,日常の一般臨床で欠かせない臨床技術となりつつある.腹腔鏡は子宮外妊娠が疑われる症例や診断に苦慮する症例に対して威力を発揮する.
 旭川医科大学産婦人科教室では,1996年から悪性腫瘍を含めた手術適応患者に対して内視鏡下手術に完全移行を目指している.現在,子宮外妊娠に対しては現在のところ全例内視鏡下手術を施行している.子宮外妊娠に対する内視鏡下手術の難易度はレベル1に属し,ある程度の腹腔内出血を伴う場合でも,手術時間・出血量などに関しても開腹手術とほぼ同様に行うことができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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