icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻2号

1998年02月発行

文献概要

今月の臨床 腫瘍マーカーは何を語るか 治療戦略への応用

6.妊娠の影響をどう評価するか

著者: 蝦名康彦1 櫻木範明1 藤本征一郎1

所属機関: 1北海道大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.196 - P.199

文献購入ページに移動
 腫瘍マーカーは「悪性腫瘍によって産生される物質で,正常ないし良性疾患の場合には産生されないもの」,すなわち腫瘍特異抗原であることが理想的である.しかし,現在,臨床の場で広く用いられている腫瘍マーカーの多くは腫瘍関連抗原である.つまり,悪性腫瘍のみならず正常組織でも作られる物質であり,良性腫瘍,炎症,妊娠などにより上昇を認め,その差は量的なものである.したがって,妊娠に合併した腫瘍の診断・管理に腫瘍マーカーを用いる場合には,その測定値の解釈に注意を要する.つまり陽性の結果が得られた場合,それが腫瘍によるためか,妊娠によるためか,あるいはその両者によるためなのかの鑑別が求められるからである.絨毛性疾患の腫瘍マーカーに関しては他稿に譲り,本稿では産婦人科領域で用いる機会の多い腫瘍マーカーについて妊娠・分娩が与える影響を教室の成績を交えて概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?