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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻2号

1998年02月発行

連載 産婦人科クリニカルテクニック

ワンポイントレッスン—私のノウハウ

胎胞脱出の緊急子宮頸管縫縮術のコツ

著者: 石川薫1 久野尚彦1

所属機関: 1名古屋第一赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.219 - P.219

文献概要

 妊娠中期の胎胞脱出は,後期流産や超早期産の主な原因の一つである.その周産期管理として,ウリナスタチン腟洗浄をメインとした保存的治療を唱える一派や,絨毛膜羊膜炎が原因なので子宮頸管縫縮術は無効であると唱える一派もある.しかし,筆者は過去の保存的治療での苦く惨憺たる結果から,この10年間は緊急子宮頸管縫縮術を行うポリシーを選択,推進してきた1).筆者の経験では妊娠中期胎胞脱出のうち,おおむね1/3は純粋な子宮頸管無力症,1/3は胎胞脱出から絨毛膜羊膜炎を併発した子宮頸管無力症,そして残る1/3が絨毛膜羊膜炎が基本病態と推測される.結果,前二者約2/3の妊娠中期胎胞脱出で,臨床的に緊急子宮頸管縫縮術は有効との成績を筆者は得ている.ここでは,これ以上の「保存的治療か緊急子宮頸管縫縮術か」の議論は他の機会に譲ることとし,臨床現場で今この瞬間にも胎胞脱出に対峙している産科医の一助になればと,胎胞脱出の緊急子宮頸管縫縮術のコツを,筆者の過去10年間40例の経験を基に紹介したい.
 コツ1:子宮頸管縫縮術は可及的に早く行うべきである.往々にして,胎胞脱出は休日の母体搬送が多い.週明けまで待機せず,また少々の子宮収縮があっても強行すべきである.胎胞の腟腔内への露出は,上行性感染を勘案すれば,なるだけ短時間がベターである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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