icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻2号

1998年02月発行

文献概要

薬の臨床

卵巣過剰刺激症候群におけるD—ダイマーの臨床的検討

著者: 本山光博1 三浦眞紀子2 青柳智子1 真島恵子1 荒木康久1

所属機関: 1高度医療技術研究所・中央クリニック 2日本ビオメリュー・バイテック(株)

ページ範囲:P.231 - P.235

文献購入ページに移動
 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の合併症である血栓症の病態と治療法に関して,血液凝固線溶能の変化を把握することが臨床上重要である.体外受精施行例71例(予備群36例,OHSS群35例)について,各種凝固線溶系検査の変化とD—ダイマーの臨床的有用性について検討を行った.予備群が正常域を呈するのに対し,OHSS発症患者はAPTTの短縮,フィブリノゲンの増加と血液濃縮およびD—ダイマーの顕著な増加を認め,すでに凝固線溶系が活性化されていることを示唆していた.D—ダイマーは予備群とOHSS群において明らかに有意差(p<0.001)を認め,FDPよりも優れた線溶系マーカーとして有用性が高いと考えられた.また,今回の症例の重度OHSS患者は,D—ダイマーが3,000ng/ml以上を示す場合には微少血栓の発生を考慮し,DIC発生に留意すべきと考えられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?