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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻5号

1998年05月発行

文献概要

今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること 病棟での対策—私はこうしている

2.前期破水症例の管理・4

著者: 森晃1 木村敬1 伊藤章子1 岩下光利1 武田佳彦1

所属機関: 1東京女子医科大学産婦人科

ページ範囲:P.724 - P.726

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 低体重児が出生する原因は,妊娠22週以降37週未満に出産をする早産と分娩開始以前の卵膜の破綻である前期破水(premature rupture of mem—branes:PROM)で約80%を占め,とくに32週未満の早産でPROMは約40〜50%を占める.そのため,妊娠中期に起こるPROMは,管理上,児の未熟性を考慮し,可能なかぎり児を子宮内にとどめておく必要がある.この子宮内保育待機策として子宮収縮,羊水流出,子宮内感染に対し有効な治療がなされなければならない.
 1995(平成7年)度の厚生省心身障害研究(武田班)の調査によると,妊娠中期PROM後,三次センターへ母体搬送された466例と妊娠初期から三次センターで管理しPROM後入院となった162例の比較では,母体搬送例の約40%が搬送後3日以内に分娩に至り,2週間以上妊娠期間が延長した例は約20%しかなく,逆に三次センター管理例でも約20%は3日以内に分娩に至るが,50%は2週間以上妊娠期間が延長していた1).これは搬送例ですぐに分娩に至った症例は,母体への抗生剤投与と安静のみで管理され,感染による子宮収縮がコントロールできず3次センターへ母体搬送された例であった.そのためPROM後すぐに適切な管理が施行されれば妊娠期間の延長により児の予後が改善できると考えられる.本稿では妊娠中期PROMの管理を中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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