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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻5号

1998年05月発行

文献概要

今月の臨床 早産対策—いま臨床医ができること 病棟での対策—私はこうしている

3.胎胞膨隆症例の管理・2

著者: 金山尚裕1

所属機関: 1浜松医科大学産婦人科

ページ範囲:P.730 - P.732

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 切迫早産のなかでも胎胞膨隆例は早産が切迫している状態で重症に分類される.この管理には苦慮することが多い.従来は頸管縫縮術を速やかに行うことが第一選択として考えられていた,しかし最近,頸管熟化や開大の機序にサイトカインを中心とした炎症反応がその背景にあることが明らかになった.頸管縫縮術は頸管に物理的な炎症刺激を加えることになるので,なかには増悪し早産に至ることもある.したがって頸管の炎症反応を抑制することが,切迫早産の根本的治療法として重要である.
 われわれは尿中トリプシンインヒビター(UTI)に各種サイトカインの抑制作用や子宮収縮抑制作用があることを見いだした1,2).また尿中トリプシンインヒビターは胎児尿由来物質であり,胎児の生理的物質であり安全性がある.この尿中トリプシンインヒビターを腟坐薬にし切迫早産例に投与し,妊娠維持効果にきわめて有効であることを報告してきた3).とくにUTI腟坐薬療法は,長期妊娠維持の難しいとされる胎胞膨隆例の切迫早産に対して効果がある.以下に,その具体的使用法について概説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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