臨床婦人科産科52巻6号

1998年06月発行

今月の臨床 卵管性不妊症への対応

診断

5．超音波内視鏡—新しい卵管内腔の評価法

著者： 吉田英宗¹² 深谷孝夫¹

所属機関： ¹東北大学医学部附属病院産婦人科 ²山形県立新庄病院産婦人科

ページ範囲：P.821 - P.823

文献概要

　卵管性不妊の検査法としては，子宮卵管造影，選択的卵管造影，超音波カラードプラ下通水法など，種々の方法がある．いずれの検査法も器質的病変の有無の検索が中心であり，卵管機能については不明なまま正確には評価しえないのが現状である．卵管には，配偶子・初期胚の移走や初期胚発育の場としての機能があり，不妊原因の究明および治療には卵管機能の正確な評価が重要である．卵管機能に対しては，卵管鏡による評価が最も理想的であるが，解像度や技術的な点から一般的にはなっていない．一方，超音波内視鏡は技術的にみて比較的容易であり，汎用されてもよい診断法と考えられる．
　超音波内視鏡は，主として消化管病変の診断に用いられ，悪性病変の浸潤度の判定に有用であると報告されているほか^1,2），最近では泌尿器科領域において尿管機能の評価にも用いられている^3）．産婦人科領域では，おもに子宮鏡手術時の監視装置としての報告がされてきた^4）．本稿では，超音波内視鏡による卵管内腔評価法の可能性について述べる．