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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科52巻9号

1998年09月発行

今月の臨床 胎児・新生児のBrain Damage

胎児期の脳損傷

5.TTTSと児の予後

著者: 伊藤茂1

所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1157 - P.1159

文献概要

 双胎間輸血症候群(twin to twin transfusionsyndrome:TTTS)は一絨毛膜性双胎における最も重症な合併症で,胎盤内の血管吻合を介して両児の循環動態が何らかの原因により変化し,結果的に両児の循環不全をきたす疾患である.TTTSではこの結果,一方もしくは両方の児が心不全や胎児仮死となったり,最悪の場合は一方もしくは両方の児が子宮内胎児死亡となることもある.このためTTTSの症例は未熟児で分娩となる症例が多く,その分,児の未熟性による中枢神経障害の発生リスクが他の単胎もしくは二絨毛膜性双胎の児より高くなる.
 TTTSではそのような未熟性に伴う中枢神経障害のリスクに加え,両児の循環動態の変化により発生する胎児中枢神経障害も存在するため,その発生リスクはさらに高くなる.しかし,TTTSの発生機序が明確にされていない今日では,TTTSによる中枢神経障害の発症機序も不明な部分が多いのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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