icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻1号

1999年01月発行

今月の臨床 性の分化とその異常—どこまで解明されたか

性分化のOverview

2.鑑別診断

著者: 河野康志1 上東彰子1 宮川勇生1

所属機関: 1大分医科大学産科婦人科

ページ範囲:P.20 - P.23

文献概要

 ヒトの性分化の過程は,未分化性腺の形成,内性器および外性器の分化,第二次性徴の出現,卵子・精子の形成からなる.染色体(遺伝子)の性,すなわち核型がXXかXYかは卵子と精子の受精時に決まる.染色体の性は性腺の性を定め(一次性決定機構),性腺の性は身体的な性を誘導する(二次性決定機構).Y染色体(sex-determiningregion of the Y chromosome:SRY)は未分化性腺を精巣へ分化・誘導する.胎児精巣は絨毛細胞より分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の刺激により精巣間質内ライディック細胞からテストステロンを分泌し,ウォルフ管を精巣上体,精管,精嚢などに分化させる.また,セルトリ細胞から分泌されるミュラー管抑制物質がミュラー管を退縮させる.このミュラー管抑制物質の遺伝子はすでにクローニングされ,またミュラー管に受容体が証明され,性分化における役割や意義も次第に解明されている1).女性では,胎生期の卵巣で原始卵胞が減数分裂によって形成され,テストステロンおよびミュラー管抑制物質の影響を受けないので,ミュラー管から子宮,卵管,腟上部などが形成され,また外性器は女性型に分化する.
 本稿では性分化異常の外性器所見,内分泌学的検査,染色体分析および遺伝子分析よりみた鑑別診断について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら