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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻1号

1999年01月発行

臨床経験

広汎性子宮全摘出術は完璧か?

著者: 矢吹朗彦1

所属機関: 1石川県立中央病院産婦人科

ページ範囲:P.107 - P.112

文献概要

 岡林術式が偉大な術式であることは論を待たない.しかし,その概念は1900年初頭の解剖学に立脚するもので,現代の解剖学に対比すれば,術式の矛盾,疑問も指摘される.第一には,直腸の側方靱帯の概念がまったく導入されず,それが基靱帯の一部として切除されることである.そのため基靱帯の切離は,つねに出血の危険を伴ったものであり,頑固な便秘,膀胱麻痺も避けることができなかった.その後小林,真柄らにより多くの手技の改良はなされたものの,基靱帯の概念は今も変わってはいない.第二は,術式に筋膜の概念の導入が意識されなかったことである.それが集束結紮を中心にした切離法が主に用いられた理由とも考えられる.また,小林の植物神経温存法は,卓越したアイディアであるが,ときには基靱帯を被覆する筋膜との混同を招くことがある.拙論文は,広汎性子宮全摘出術の矛盾点を述べ,対策を模索しようとするものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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