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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻11号

1999年11月発行

今月の臨床 不正性器出血—原因と対応

ホルモン異常

2.性成熟期の出血 3)薬物投与中の出血

著者: 山崎峰夫1

所属機関: 1奈良県立医科大学産科婦人科

ページ範囲:P.1362 - P.1364

文献概要

 ホルモン製剤を使用すると体内の内分泌環境が変化するため,さまざまな様式の性器出血が起こりうる.多くの場合はとくに処置や用量変更などを行わず,そのまま薬剤服用を継続するうちに不正出血は消失または軽減する.しかし,そのような出血が不規則に予測し難いかたちで繰り返す場合は,患者のコンプライアンスの低下を招きやすい.また,多量の出血が続くと貧血をきたすこともある.したがって,ホルモン剤服用中の性器出血の程度や時期について,その可能性をできるだけ詳細に説明し患者の理解を得ておくことは,ホルモン療法が奏効するためや余計なトラブルを防止するために重要である.
 なお,当然ながらホルモン剤開始に先立ち,腫瘍,炎症などの器質性疾患が除外されなければならない.とくに,子宮体部・頸管の腫瘍は一度の細胞診では見逃されることが少なくないことを考慮し,薬剤服用期間中に不正性器出血が続くときはこれらの腫瘍性病変に対する検索を繰り返す慎重な態度が必要であることはいうまでもない.さらにホルモン療法中であっても,不適切な服用や薬剤の体内動態の変動,その他の要因により予期しない排卵が起こり,妊娠が成立することもある.妊娠に関連した性器出血の可能性についても留意しておかなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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