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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻12号

1999年12月発行

連載 誌上Debate・6

双胎妊娠におけるシロッカー手術施行の可否

著者: 関博之1 竹田省1 木下勝之1 池ノ上克2 池田智明2

所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター 2宮崎医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1534 - P.1539

文献概要

 可 双胎妊娠における管理の基本は早産と胎児発育遅延の防止である.胎児発育遅延の原因は不明で,対策が確立されていない現在,「いかに早産未熟児の出生を防ぐか」ということが双胎管理の最重要課題である.双胎妊娠の早産防止に対するシロッカー手術による頸管縫縮術の有効性に関する報告によれば,満期産達成率でみる限りその有効性は証明されていない1-3).したがって双胎妊娠の早産防止対策は入院・安静およびtocolysisが基本となっていた.
 しかし実際には,単胎妊娠の場合と同様の早産防止対策では,妊娠22〜30週で早産になる症例を完全には防ぐことはできない.したがって,児の予後が安全となる妊娠32週以降まで在胎週数を延長させるためには,その必要がない症例が含まれるとはいえ,妊娠初期に頸管縫縮術を試みることは,一つの対策と思われる.この背景として,①双胎妊娠の場合は,子宮容積の過度な増大による相対的な頸管無力症が発症しやすいと考えられる4).②多くの報告は妊娠37週未満の早産例を比較検討しているが,新生児医療の進んだ現在では双胎児で予後が問題となるのは妊娠32週未満の早産児である5).したがって,予防的シロッカー手術の有効性を検討するためには,妊娠37週未満ではなく妊娠32週未満の早産率で評価することは有意義と思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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