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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻12号

1999年12月発行

CURRENT RESEARCH

組織学的黄体退行Structural luteolysisについて

著者: 遠藤俊明1 工藤隆一1

所属機関: 1札幌医科大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.1541 - P.1550

文献概要

 筆者らの教室における黄体の研究は,約30年前の電子顕微鏡を用いた研究に始まる.筆者自身の黄体の研究は15年くらい前からである.1990年にエール大学のバーマン教授の元に留学してからは,過酸化水素と黄体機能,さらにfunctional luteolysisからstructural luteolysis(SL)への移行のメカニズムの研究が主になった,また現在,黄体のほか,黄体機能異常の一つの亜型ともいうべきOHSSの研究をしている.
 SLの段階では劇的な黄体組織の縮小が認められるが,この言葉をラットで定義したのがMalvenである.Society for the Studv ofReproductionでご本人にお会いしたとき.彼はこのprolactinによるSLの発見を“by acci—dent”と表現した.というのは下垂体を摘除したラットに,ラットではluteotropic factorであるプロラクチンを投与する予定でいたときに,ラットの到着が遅れたために下垂体摘除後24時間以上経過してプロラクチンを投与した,そのためプロラクチンは黄体を縮小させるというまったく予想外の結果をもたらした.つまりこれにより,プロラクチンのサージが黄体を縮小させていることが後に判明した.このようなby accidentに恵まれるのを夢見て研究を続けている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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