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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻2号

1999年02月発行

連載 OBSTETRIC NEWS

緊急帝王切開を「30分以内」に開始できるか?

著者: 武久徹

ページ範囲:P.217 - P.219

文献概要

 心配な胎児心拍数(FHR)パターンが原因で緊急帝王切開(帝切)を行うことがある.心配なFHR記録があっても(胎児刺激も含め),一過性頻脈が確認できれば経過観察でよい(ACOGTech Bull,No207,1995)が,その後も心配なFHR記録が持続すれば,子宮腔内人工羊水注入法を行ったり,ブリカニール0.25mg皮下注射する(Aust NZ J Obstet Gynecol 33:362, 1993).しかし,突然の遷延一過性徐脈や徐脈(例:臍帯脱出,胎盤早期剥離,前置血管など)は,ほとんど予測不可能で,短時間で緊急帝切を開始し,胎児を悲惨な結果から救えるとはかぎらない.
 米国の産科医は帝切決定から開始までの時間(decision incision time:DIT)は「30分以内」が標準的医療であると要求されている(Guide—lines for Perinatal Care.4th ed,AAP & ACOG,p112,1997).しかし,「30分以内」という制限には医学的根拠がなく,さらに「DITは30分以内」は必ずしも達成可能ではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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