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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻3号

1999年03月発行

原著

上皮性卵巣腫瘍におけるセリンプロテアーゼ,hepsinおよびSCCEの発現

著者: 谷本博利1 重政和志2 武内博子1 久住一郎1

所属機関: 1麻田総合病院産婦人科 2広島大学医学部産婦人科 3アーカンソー大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.331 - P.334

文献概要

 プロテアーゼは癌の浸潤,転移に重要な役割を果たす.differential displayにより癌で過剰発現が認められたプロテアーゼ遺伝子のうち,hepsin,stratum corneum chymotriptic enzyme(SCCE)について,RT-PCR法,Northern blot法および免疫組織化学を用いて正常卵巣ならびに上皮性卵巣腫瘍における発現を検討した.hepsin, SCCEのmRNA過剰発現は境界悪性腫瘍でそれぞれ58.3%(7/12),66.7%(8/12)にみられ,悪性腫瘍ではそれぞれ84.4%(27/32),78.1%(25/32)に認められた.また,hepsin, SCCEはともに免疫染色で腫瘍細胞に陽性であった.—方,正常卵巣ではいずれの方法でもhepsinならびにSCCEはほとんど発現がみられなかった.卵巣腫瘍において高率に過剰発現が認められるこれらのセリンプロテアーゼは,腫瘍の発育,浸潤に関与すると考えられ,診断の補助マーカーあるいは治療の標的として有用である可能性が示唆された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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