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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻5号

1999年05月発行

今月の臨床 PCO症候群を斬る

総論

1.PCO症候群の診断基準

著者: 武谷雄二1

所属機関: 1東京大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.650 - P.653

文献概要

●はじめに
 多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syn—drome.以下,PCOS)は,歴史的には1935年SteinとLeventhalらが無月経や希発月経などの排卵障害,多毛,肥満,卵巣の腫大などを主徴とする症候群を報告したのが発端となった1).彼らは卵巣の楔状切除により排卵障害が回復することを認めており,卵巣の異常が本症候群の病態の中心ではないかと推論した.
 その後の研究によりSteinとLeventhalらにより報告された症候群の完全型はきわめてまれであり,しかも不全型の症例も限りなく正常に近いものから高度のものまで含み,卵巣の腫大のみがこれらに共通の所見であることより厳密な意味でのStein-Leventhal症候群の存在に疑義が寄せられた2).さらにGoldzieherら3)は1,000例以上のStein-Leventhal類似の疾患を蒐集分析し,その臨床症状はきわめて多彩であるが卵巣のpolycys—ticな変化が全例にみられることを見いだし,Stein-Leventhal症候群およびその類縁疾患を広くpolycystic ovarian disease (PCOD)と呼称することを提唱した.この時期はいまだホルモン測定も十分にできず主に卵巣の形態学しか観察できなかったためこのような診断名が提案された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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