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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻5号

1999年05月発行

文献概要

今月の臨床 PCO症候群を斬る 治療

2.不妊の治療 1)クロミフェン療法

著者: 奥田喜代司1

所属機関: 1大阪医科大学産科婦人科学教室

ページ範囲:P.696 - P.698

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 多くの排卵障害(卵巣性を除く)例ではゴナドトロピンの律動性(pulse)分泌が障害されている.排卵誘発剤であるクロミフェンは視床下部に抗エストロゲン化合物として働き,LH放出ホルモン(GnRH)の律動性分泌1)を促進し,下垂体性ゴナドトロピンを賦活することにより排卵が誘発される.したがって,クロミフェンはGnRH療法やhMG-hCG療法よりも中枢に作用することから,より生理的な排卵誘発剤といえる.排卵障害例に対するその排卵誘発率は57〜91%2)と高く,第一選択として使われることが多い.またPCO症候群に対してもクロミフェンは第一選択の排卵誘発剤で,クロミフェンの100mg/日の5日間投与で27例中18例(66.7%)で排卵が誘発されたと報告3)されている.しかし,クロミフェンが無効なPCO症候群も多く,この無効例では臨床上問題となることが多い.すなわち,PCO症候群に対するhMG-hCG療法は卵巣過剰刺激症候群の発生率が高く,禁忌とされている.また手術療法である腹腔鏡下卵巣焼灼術4)や超音波下経腟卵巣穿刺術5)の手術療法は,従来の開腹して行う卵巣楔状切除術に比べると患者の負担は少なくなったが,依然として侵襲的な治療法である.本稿ではより安全で,有効な排卵誘発法としての各種クロミフェンのバリエーション療法を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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