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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻7号

1999年07月発行

文献概要

今月の臨床 胎児へのlife line臍帯 臍帯の臨床

8.臍帯下垂と臍帯脱出

著者: 瓦林達比古1 牧野康男1

所属機関: 1福岡大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.926 - P.928

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 臍帯下垂ならびに臍帯脱出の定義については産科婦人科用語解説集によると,臍帯下垂(fore—lying of the umbilical cord)は破水前に先進胎児部分の側方または下方に卵膜を隔てて臍帯を透視ないしは触知するものをいい,臍帯脱出(prolapse of the umbilical cord)は破水後で産道内または陰裂間に臍帯が懸垂してきた状態をいう1).さらに破水前後にかかわらず,胎児の先進部をこえて下降しているが,内診や視診ではわからない状態を潜在性臍帯脱出(occult cord prolap—se)と定義されている.
 また,米国では臍帯脱出の頻度は頭位で0.5%,足位で15%,そして横位で20%とされているが2),近年,その頻度は0.2%に減少しつつあるという3).それは胎位異常における選択的帝王切開術の増加によることも一因になっているものと思われる.一方,わが国においては0.4〜1%程度と報告されている1,4).当院においては,1989年1月から1998年12月までの過去10年間の分娩数4,162例中12例(0.28%)の臍帯脱出の症例を経験している.このように実際の臍帯脱出の頻度は高くないが,いったん臍帯脱出が発症すれば臍帯還納による救命は困難であり,児は胎児仮死から胎児死亡へとかなりの頻度で移行し,予後は不良になってくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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