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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻8号

1999年08月発行

雑誌目次

今月の臨床 生殖医療とバイオエシックス 最近の動き

1.生殖医療技術の最先端

著者: 星和彦 ,   笠井剛

ページ範囲:P.1010 - P.1015

 SteptoeとEdwards1)による初めての体外受精児の誕生から20年が経過したが,体外受精—胚移植(in vitro fertilization-embryo transfer:IVF—ET)は生殖補助技術(assisted reproductive tech—nology:ART)のなかで重要な位置を占めるようになった.また,顕微授精,とりわけ卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)は,画期的な男性不妊の治療法として脚光を浴び,実施症例・成功例ともにその数は加速度的に増加している.これらの生殖医療技術の確立は不妊治療研究の輝かしい成果であり,従来ならば妊娠することをあきらめざるを得なかった不妊カップルに大きな福音をもたらすとともに,ヒトの生殖生理の基礎研究領域においても生殖のメカニズムに関する新知見を集積しつつある.しかし,同時に,多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群などのARTに関連した副作用の問題や,配偶子,胚の提供,代理母,減胎手術,商業主義の介在,着床前診断など,生命倫理に直接関係してくる諸問題が提起されつつある.本稿では生殖医療の最先端技術と派生する諸問題について,概説してみたい.

2.日本産科婦人科学会の見解

著者: 青野敏博 ,   東敬次郎 ,   苛原稔

ページ範囲:P.1016 - P.1019

 1978年に世界初の体外受精児の誕生以来,生殖医療技術(assisted reproductive technology:ART)の発展はめざましく,従来予想していなかった方法で不妊患者を治療できるようになった.しかし方法によっては医学的,法律的,倫理的問題を含んでおり,社会的なコンセンサスを得ながら実施しないと,一般社会から是認されない事態が想定された.
 ARTを規制するには,法律による方法と学会のガイドラインによる方法があるが,法律による規制は,罰則規定により強制力を伴うという長所はあるものの,ARTの急速な進歩に対応できない恐れがある.

3.厚生科学審議会の動き

著者: 廣井正彦

ページ範囲:P.1020 - P.1022

 従来よりわが国の体外受精をはじめとする生殖医療については,学会や各医療機関での倫理委員会の審議にまかされてきた感があった.
 しかし,次々と新しい生殖医療技術が進展し臨床応用され,なかには商業化のきざしがみえはじめたり,どこまで許されるかなど社会的問題化してきたため,国や法律での関与がとりざたされるに至った.

体外受精

1.配偶子・胚の提供

著者: 吉村泰典

ページ範囲:P.1024 - P.1027

 1998年6月,わが国でも実弟の精子および実妹の卵子を用いた体外受精が行われ,子供が生まれていたことが明らかとなり,議論を呼んでいる.本邦では体外受精をはじめとする生殖補助技術(ART)を規制する法律はないが,日本産科婦人科学会が会告によって体外受精の適用を夫婦間に限っている.一方,従来より行われていた非配偶者間人工授精(AID)は,1996年に出された会告により追認の形とはいえ,他に方法のない婚姻した夫婦に限って承認されている.ドナーの精子を用いた人工授精が許可されているのに,ドナーの精子や卵を用いた体外受精がなぜ許されないのかが,改めて問題となっている.本稿では,配偶子・胚の提供による体外受精の方法論ならびにその倫理的諸問題について概説する.

2.代理母

著者: 星合昊

ページ範囲:P.1028 - P.1030

 体外受精—胚移植により,1979年にSteptoe &Edwardsらが世界初の,1983年に鈴木らが本邦初の生児を得てからおよそ20年が経過した.この間,排卵誘発法・超音波採卵・培養技術・顕微授精などの技術の進歩により,当初,体外受精—胚移植と呼ばれた診療技術も生殖補助医療(assistedreproductive technology:ART)と呼ばなければならないほど広範に応用可能な診療法となった.さらに,良質な培養液・極細ピペットの販売により,当初最も知識と技術が必要であった過程がなくなり,さらにこの診療技術は普及した.本来,科学技術の進歩による臨床応用の拡大には慎重であるべきにもかかわらず,広範な応用と普及により実際の臨床応用と医学的適応の間に大きな解離が生じ,種々の社会問題を起こし始めた.
 今回,本稿を書く機会をいただいたので,代理母をテーマとして科学的技術の進歩と必要性および臨床応用への問題点に関する私見を述べる.

3.減胎手術

著者: 津端捷夫 ,   佐藤和雄

ページ範囲:P.1032 - P.1036

 排卵誘発や体外受精—胚移植など生殖補助医療技術の発達は不妊夫婦にはかり知れない福音をもたらした.しかしその一方において,卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠などの副作用の増加が問題となって種々の議論を巻き起こしている.もとよりこれらの副作用発現を防止することが急務であり,排卵誘発法における単一排卵の研究や体外受精—胚移植法における移植胚数の制限などの面から検討されている.しかし,これらを防止する完全な対策は存在せず,多胎妊娠に関してはその普及とともに増加してきた経緯があり,その解決法の一つとしての減胎手術の是非を巡って論議が重ねられてきた.しかしいまだそれの結論を得るに至っていない.

4.生殖医療のビジネス化—精子・卵など生殖物質の商品化をめぐって

著者: 金城清子

ページ範囲:P.1038 - P.1041

 あらゆるものを商品化,ビジネス化していく資本主義社会にあって,生殖医療の発達は,医療そのものに加えて,精子,卵という人体の一部の商品化を進めようとしている.したがって生殖医療をめぐる倫理問題を,その経済的側面に光をあてながら考察することは重要なことであろう.筆者はかつて生殖医療そのもののビジネス化を検討し,生殖医療に対して保険を適用していくことの重要性を指摘した1).本稿では,その際十分に展開できなかった精子,卵などの生殖物質の商品化について考察する.
 ところで日本では,生殖物質の商品化を人々に強く印象づけた出来事が,1996年に発生している.インターネットを使っての精子の仲介ビジネスが始められ,医療として行われてきた提供精子による人工授精に,業者が利潤追求のために介入しようとしたのである.これに対して日本産科婦人科学会は,「非配偶者間人工授精と精子提供に関する見解」という会告を出して対処した.「精子提供は営利目的で行われるべきものではなく,(医師は)営利目的での精子提供の斡旋,関与もしくは類似行為を行ってはならない」として,精子の商品化に歯止めをかけようとした.医師さえ協力しなければ,医療行為である人工授精は行えないから,業者の仲介行為は無意味になり,仲介業は成り立たないはずだった.しかしこの業者は,現在でもインターネット上で堂々と営業を続けている.

5.社会の受け止め方

著者: 大野善三

ページ範囲:P.1042 - P.1043

 体外受精に賛成か反対かを表す統一した意見はないというのが現状である.したがって,体外受精の「社会の受け止め方」も,一つにまとまった受け止め方はない.まことに平凡な結論だが,これがかえって健全な態度だと思う.不妊に悩む夫婦は,体外受精をしてでも子供が欲しいと思うし,一度の性接触で直ぐに妊娠してしまう女性は,体外受精にまったく無関心である.妊娠しやすい体質の人は,「そうまでして,子供が欲しいか?」と,体外受精に疑問を持っている.逆に不妊に悩む女性は「まー,冷たい.自分は子供を持っているからって」と,不妊に対して複雑な思いをしている.人は自分中心に考えるために,自分勝手でもある.だから個人の権利を大切にする社会が,思考の多様性を認めるのは当然である.
 これが,子供を必ず持たなければならないと,まるで「産めよ,増やせよ」を唱えた戦時中のような社会背景があったり,「子供を持つことは絶対に許さぬ」と宣言した,西欧中世の絶対王政が醸す全体主義風土は,まことに不気味である.そういう意味では,今の日本は自由だといえる.

6.法的規制 1)諸外国の状況

著者: 橳島次郎

ページ範囲:P.1044 - P.1046

総論
 1978年にイギリスで世界初の体外受精児が誕生して以後,1980年代に入ってヨーロッパ主要国で生殖補助医療の法的規制の検討が始まった.1984年にはイギリス,1985年にはドイツ,1988年にはフランスで,のちの立法の基礎になる政府委員会報告書が出され,それと前後して専門医師団体の取り組みも進んだ.その結果1990年代には各国で立法が実現した.最新の例では,1997年6月にデンマークが医療・研究にわたる包括的な規制法を制定している.規制の内容は国による違いが大きく,ドイツ語圏諸国のように厳しい禁止的規制をとる国もあれば,イギリスのように行政機関の審査に委ねる比較的リベラルな規制の国もある.フランスや北欧諸国などはその中間で,条件付けを狭くして慎重な規制を敷いている.
 これに対してアメリカ合衆国では連邦レベルの法的規制は,施設ごとの成績情報開示を求める法律と胚の研究利用を禁じる毎年の予算法があるだけで,臨床の規制は各州法と裁判所の判断に委ねられており,事実上無規制の状態にある.

6.法的規制 2)民法上の問題点

著者: 水野紀子

ページ範囲:P.1048 - P.1053

民法の定める「法律上の親子」とは何か
 民法の定める親子法は,たしかに現代の医学の発達を前提とはしていない.母親は分娩によって特定できるけれど,父親がわかりにくい時代に立法されたものである.現在の鑑定技術を想定していないことはもちろん,体外受精などの生殖技術も予定されていない.したがって民法は,結婚している母親から産まれた嫡出子については,母の夫を父親と推定し(嫡出推定*1),未婚の母親から産まれた非嫡出子については,父親の認知によって父子関係が成立するものとしている.
 しかし民法の規定する親子関係法は,血縁上の親子がわかりにくいという理由でのみ,嫡出推定や認知という法的技術を設けたのではない.むしろ親子関係を規律するにあたって子の利益をはじめとするさまざまな法益を考慮して複雑な権利義務の枠組みを構築し,実親子関係であっても,血縁上の親子と法律上の親子とが異なりうることを前提として設計されている.民法の法的技術があえて血縁と完全には一致しない法律上の親子という概念を作ってきたことの意義は,現代の医学の発展を取り入れた立法や解釈をするにあたっても,まず十分に考慮されなければならないであろう.

出生前診断

1.WHOのガイドライン

著者: 松田一郎

ページ範囲:P.1054 - P.1056

 1995年,Wertz D, Flecher JF, Berg KらはWHOのBouljenkov Vらとともに“Guidelineon ethical issues in medical genetics and theprovision of genetic services”をまとめて各国に送り,その内容に関して論議を尽くすように提案した.これについては,1996年ブラジルで行われた国際人類遺伝学会で承認される予定であったが,一部の国の参加がなかったこと,またその席上で初めてこの草案を目にした代表がいたりして,結局,採択には至らなかった.その後,1997年,神戸,福井でWertz, Bouljenkovらが出席した“UNESCO Asian Bioethics Conference andthe WHO-associated Satelite Synposium onMedical Genetics”で,各学会代表者に加えて,複数の患者代表者,親の会代表者が出席して論議された.その後,各国から数々のコメントが寄せられたと伝えられている.
 1998年,これらを背景にして,WHOはその改訂版ともいえる“Proposed international guide—lines on ethical issues in medical genetics andgenetic service”を出版した.

2.トリプルマーカー検査

著者: 寺尾俊彦

ページ範囲:P.1058 - P.1065

 従来,高齢妊娠,染色体異常児出産既往を持つ妊婦のように染色体異常児出産のリスクが高い妊婦に対して,希望があれば適応を限って,羊水細胞染色体検査や絨毛細胞染色体検査が行われてきた.これらの検査は侵襲的な方法でもあり,その対象は限定されていた.しかし近年,末梢血採血という比較的侵襲の小さい方法で行われる妊婦血清マーカースクリーニング検査が登場し,今,この検査の位置づけが問題になっている.妊婦の血液を用いて胎児の21トリソミー(ダウン症),18トリソミー,神経管閉鎖不全をスクリーニングする検査法である.
 この検査は容易に行えるので,妊婦全例にマススクリーニングとして使われる可能性があり,胎児のふるい分けにつながるおそれもある.障害のある者が障害のない者と同様に生活し,活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念は国際的にも広く合意されているが,もしもこの検査がマススクリーニングとして使われるとなると,障害のある胎児の出生を排除し,障害のある者の生きる権利と命の尊重を否定することにつながるとの懸念や,また,この検査は羊水検査とは違って確定検査ではなく,単なる確率として表現されるものであり,次のステップである羊水検査を受けるかどうかを決める際にも妊婦に精神的な動揺・混乱を招く可能性があるとの指摘がなされた.さらに,この検査は検査会社が主導する形で普及しつつある点でも問題があった.

3.着床前遺伝子診断

著者: 鈴森薫

ページ範囲:P.1066 - P.1068

 1989年,英国で,X連鎖遺伝病保因者である女性の卵子を用いた人工授精で得られた初期胚の性別判定を行い,疾患の発症を免れる女性胚のみを子宮内に戻し,正常女児の出産成功例が発表された.本法の意味するところは重篤と思われる遺伝病を受け継いだ子供の妊娠そのものを回避できることが証明されたことで,従来の胎児を対象とした絨毛採取や羊水穿刺に取って代わるものとして期待を集めた.この新技術がバイオエシカルな面で通常の出生前診断とおおいに異なる点は,「異常胎児の中絶」がなくなることである.
 米国では本法の臨床応用の是非についてプロチョイス派とプロライフ派との間で激しい論争が繰り返された.プロチョイス派は重篤な遺伝病をもつ可能性の高い夫婦が「健常な子供」を生むためにこの技術を受けるべきだとする一方で,プロライフ派は絶対反対の姿勢をとり続けた.いずれの団体も問題としているのは,従来の胎児を対象とした診断法でない着床前の初期胚の生命をどのように考えるかという点にある.産む産まないを決めるのは女性およびカップルであるという立場にあるプロチョイス派の人達は,初期胚診断は中絶を希望するカップルに新しい選択肢を与えるものとし,妊娠中に起きる問題である「異常胎児の中絶」や妊婦の被る身体的・肉体的苦痛を考えれば,異常な初期胚を細胞レベルの段階で選択できる点,バイオエシカル的にみてより容認されやすいものと位置づけた.

連載 カラーグラフ 知っていると役立つ婦人科病理・2

What is your diagnosis?

著者: 石倉浩

ページ範囲:P.1007 - P.1009

症例1:43歳,女性
 小児頭大の子宮筋腫が指摘され腹式子宮摘出術が行われた.肉眼的に異常のない頸部の筋層中にFig 1で示すような不規則な腺成分の散在性増生が認められた.これらの腺成分は何か.

OBSTETRIC NEWS

12時間の尿中蛋白定量測定の有用性

著者: 武久徹

ページ範囲:P.1070 - P.1071

 Preeclampsia(子癇前症〜妊娠中毒症に相当)の診断基準は,高血圧に蛋白尿が加わった場合(±浮腫)と定義される(Williams Obstetrics.20版,p694,1997).妊娠38週までに約1/3の妊婦に浮腫が認められ(Paul RH:私信,1999),浮腫の有無と高血圧に有意の関係がない(J OG Br Com—monw 78:520,1971)ので,浮腫があるだけで子癇前症と診断すべきではない(Wi11iams Obstet—rics.20版,p 694,1997)(妊婦の浮腫のみを妊娠中毒症の診断基準に入れると,妊娠中毒症の発生頻度は約30%という高率になる可能性がある).
 高血圧の定義は過去に使用された基準(収縮期血圧上昇≧30mmHgまたは拡張期血圧上昇≧15mmHg)は,正常生理的変化または病理的疾患発症のサインのいずれの可能性もあり,臨床的には意味がない(ACOG Tech Bull,#219,1995;Williams Obstetrics.20版,p 694,1997;ACOGPrecis.p 38,1998)ので現在は収縮期血圧≧140mmHgまたは拡張期血圧≧90 mmHgが高血圧の診断基準である.

Estrogen Series・40

環境エストロゲンと男性の生殖機能

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.1074 - P.1075

 女性の不妊症には十分な関心が払われているが,男性の生殖機能(この場合,機能には解剖学的な変化も含まれる)については,これまで関心はむしろ低く,不妊症の男性寄与率が最近10%から25%に増大したことにも多くの関心を集めてはいない.デンマークのCarlsenら1)は世界各所からの61例の研究を総合的にメタアナリシスの対象とし,その結果,過去50年間にわたり精子の数と質がともに低下していることを示した.
 このデンマークの研究によれば,1938年から1990年に至る間に精子数は11,300万/mlから6,600/mlに減少した1).これに類似した精子の数と質の低下は1973年から1992年に至るパリでもみられ2),スコットランドでは同様な減少が1940年から1969年の間でみられた3).デンマークの研究は,周産期に起きたなんらかの要因が,後に成人してからの精子産生能力に影響を与えるとの見解を示したが,その後の研究により,生まれた年代と精子数との相関が示された.これとは別に精巣癌の発生頻度増加が多くの国で報告され,また尿道下裂や停留精巣などの解剖学的異常の増加も記録されている.

産婦人科キーワード・35

カドヘリン

著者: 東敬次郎 ,   苛原稔 ,   青野敏博

ページ範囲:P.1076 - P.1076

語源
 細胞接着分子には,細胞と細胞外マトリックス(コラーゲンなど)を接着させるもの(インテグリン,フィプロネクチンなど)と,細胞と細胞の接着を起こすものに大別される.カドヘリンは後者の代表的な例で,細胞表面に存在し細胞間接着を担当する糖蛋白である.カドヘリンは,その作用を発揮するためにはカルシウムが必要で,カルシウム依存性細胞接着性分子(calcium-dependentcell adhesion molecule)を語源にカドヘリン(cadherin)と命名された.

産婦人科キーワード・36

SRY

著者: 新家利一 ,   中堀豊

ページ範囲:P.1077 - P.1077

語源
 ヒトにおいては内性器の男性化には睾丸形成が必須で,このための睾丸決定因子(TDF)はY染色体上に存在する.SRYはヒトY染色体上の睾丸決定に必要な最小領域に存在し,TDFの性格を満たしている遺伝子である.SRYという命名はこの遺伝子が存在している染色体上の位置に由来する.

病院めぐり

秋田赤十字病院

著者: 平野秀人

ページ範囲:P.1078 - P.1078

 秋田県は日本で6番目に広い県ですが,総人口は約120万人,年間の出生数は約1万人(第39位)です.出生率は8.6(全国平均9.5)と最も低く,過疎化と少子化は誠に深刻な問題です.他県の人は冬季間の灰色の空に気分が滅入るようですが,春から秋にかけての日照時間が日本で最も長いことはほとんど知られていません.極端な日照時間の差が色白できめ細やかな肌の秋田美人の源ともいわれています.秋田市は県のほぼ中央に位置し,人口約32万人の日本海側を代表する都市です.陸の孤島といわれた時代もありましたが,平成9年3月の秋田新幹線“こまち号”の登場以来,にわかに首都圏が近くなりました.
 秋田赤十字病院は大正3年に6科75床で開院後,今年で85年目を迎える歴史ある病院です.昭和27年にはわが国初の新生児交換輸血に成功し,周産期医療史に残る偉業を達成しています.平成10年7月に現在地に移転し,約62,000m2の敷地に地上8階建て,19科496床の病院が新築されました.周産期医療センターは平成5年に開設されていましたが,今回の新病院移転にともない救急救命センター,神経病センターとともに秋田県の政策医療の1つとして,NICU 6床,GCU 30床,PICU 20床と規模を大幅に拡張して,名実ともに秋田県の中心的センターとして始動しました.

大阪厚生年金病院

著者: 岩田守弘

ページ範囲:P.1079 - P.1079

 大阪厚生年金病院は,JR大阪駅のある梅田の目と鼻の先にあり,大阪市の都心部に位置しています.財団法人である厚生年金事業振興団を経営母体とし,昭和27年に開設されました.現在は,病床数570床,職員数約700名を有し,当院のパンフレットによりますと,「整形外科をはじめ21科を有する総合病院として,常に高度な医療をもって診療にあたり,公的医療機関の使命を果たし,地域医療に貢献しています」.
 産婦人科は昭和29年に設立され,病床数は40床,現在の診療スタッフは,常勤医師5名(高木 哲部長,脇本昭憲医長,岩田守弘医長,金井利仁医長,林正美研修医)と非常勤医師1名(和田栄里子医師)です.

誌上Debate・2

子宮筋腫におけるGnRH療法の是非

著者: 塩田充 ,   星合昊 ,   森宏之

ページ範囲:P.1082 - P.1086

是 GnRHアゴニストを子宮筋腫患者に投与することにより症状の改善が望める.また,手術侵襲の軽減や回避を目的とした投与も可能であり,そのメリットは大きい.よって子宮筋腫におけるGnRH療法は是と考える.
 理由としては,主として以下の3点が挙げられる.

CURRENT RESEARCH

メラトニンの生物学的作用

著者: 岡谷裕二

ページ範囲:P.1087 - P.1093

 メラトニンについての研究は,高速液体クロマトグラフィーを用いた血中メラトニンの微量定量法の開発に始まる.これまでにこの測定系を用い,性機能系とメラトニンとの関連を,中枢性排卵障害,夜間プロラクチン分泌,思春期発来を中心に解明してきた.これまでメラトニンの研究は,日内リズムとホルモン分泌との関連に集約されていたが,近年,メラトニンには強い抗酸化作用を有することが明らかにされ,一躍注目されるようになった.そこで,われわれもantioxidantとしてのメラトニンの生物学的作用に注目し,妊娠中毒症,胎児仮死,老化.高脂血症といったフリーラジカル産生の亢進した病態でのメラトニンの生理,薬理学的作用を検討している.今後,さらにメラトニンの治療剤としての可能性について研究を行いたいと考えている.

症例

メソトレキセート(MTX)投与により保存的に治療し得た卵管間質部妊娠の1例

著者: 伊藤誠 ,   杉浦智子 ,   永田文隆 ,   松原英孝 ,   野村祐久 ,   千原啓

ページ範囲:P.1095 - P.1098

 卵管間質部妊娠は子宮外妊娠の2〜5%とされる稀な疾患で,その治療法は開腹による子宮卵管角部楔状切除術が原則とされているが,今回筆者らは,未破裂卵管間質部妊娠に対してメソトレキセート(MTX)の局注と全身投与で保存的に治療し得た症例を経験したので報告する.
 症例は38歳1回経妊1回経産婦で,無月経9週3日に下腹部痛と血性帯下を主訴に受診した.経腟超音波にて左卵管角部に胎嚢様エコーを認めたため間質部妊娠を強く疑った.まず子宮内容清掃術を行い絨毛の存在しないことを確認し,続けて腹腔鏡で左卵管間質部妊娠と診断し,MTX10mg局注を行った.術後6日目に尿中hCG値の再上昇を認めたため,ロイコボリン併用でMTX300mgの全身投与を追加した.尿中hCG値が検出感度以下となった後second look laparoscopyを行い,両側卵管の通過性を確認した.術後約9か月で妊娠成立をみたが,子宮内胎芽死亡となった.

両側卵管水腫に対する手術後,体外受精—胚移植で妊娠した3例

著者: 高橋敬一 ,   塩田恭子 ,   古屋智 ,   佐藤孝道

ページ範囲:P.1099 - P.1103

 体外受精—胚移植(IVF-ET)を2回以上施行しても不成功だった両側に卵管水腫の存在する不妊患者に対し,卵管切除術や卵管開口術を施行し,その直後のIVF-ETで妊娠・分娩に至った3例を経験した.卵管水腫の存在するIVF-ET不成功例への卵管水腫の処置により,着床・妊娠への好影響が期待できることが示唆された.

シゾフィランとCDDPの腹腔内投与およびCAP/CP療法が有効であった腹膜偽粘液腫の1例

著者: 寺本憲司 ,   新谷潔 ,   小原範之

ページ範囲:P.1105 - P.1108

 腹膜偽粘液腫は腹腔内に多量のゼラチン様物質(gelatinous substance:GS)が貯留した疾患であるため,一期的な治癒的外科切除は困難な場合がある.そのためcytoreduction surgery (再開腹を含む),GSの産生を低減させるための抗癌剤投与,GSの粘稠度を変化させるための薬剤投与,GSが再貯留した場合の排出が重要な課題となる.術後のGS再貯留を抑制するために,われわれは低分子デキストランとブドウ糖液による腹腔内洗浄およびシゾフィランとシスプラチンの腹腔内投与を行ったところ,術前に高値を示したCEA,CA19-9,CA 125はいずれも減少傾向を示し,GSの再貯留を認めなかった.しかし,その後の経過でCEAと19-9が漸増傾向を示したため,CAP療法を3回,CP療法を2回施行した.現在,CEAとCA19-9はややカットオフ値をこえているものの遠隔転移やGSの再貯留を認めておらず,粘液溶解療法と癌化学療法の併用はGSの除去と再貯留の防止に有効であると考えられた.

頸管妊娠の治療経過と超音波断層像

著者: 村尾文規 ,   迫田良一 ,   瀬戸学

ページ範囲:P.1109 - P.1113

 子宮外妊娠のなかでも頸管妊娠の頻度は少ない.しかし,その筋層がよく発達しているだけに,診断が遅れれば重篤な症状を呈する可能性があり,早期診断はその予後を大きく左右すると考えられる.そこで本症例をもとに,頸管妊娠の診断および治療効果の評価における超音波検査の有用性について検討した.本症例では,初診時,胎芽およびその心拍動を超音波検査によって描出することが可能で,妊娠の確定診断が容易に得られた.しかし,子宮体部に胎嚢を認めなかったため,頸部を走査し,同部位に胎嚢および内部に胎芽のエコーを描出した.D&C後,頸部筋層に境界明瞭な高輝度のエコー域,その内部に大小不同のエコーフリースペースを認めた.その後,MTXの投与によって,境界明瞭な高輝度のエコー域は徐々に縮小,境界不明瞭,エコーフリースペースの減少,消失と変化した.しかしその痕跡は,3年を経ても描出可能であった.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

75巻3号(2021年4月発行)

今月の臨床 女性のライフステージごとのホルモン療法―この1冊ですべてを網羅する

75巻2号(2021年3月発行)

今月の臨床 妊娠・分娩時の薬物治療―最新の使い方は? 留意点は?

75巻1号(2021年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 生殖医療の基礎知識アップデート―患者説明に役立つ最新エビデンス・最新データ

74巻12号(2020年12月発行)

今月の臨床 着床環境の改善はどこまで可能か?―エキスパートに聞く最新研究と具体的対処法

74巻11号(2020年11月発行)

今月の臨床 論文作成の戦略―アクセプトを勝ちとるために

74巻10号(2020年10月発行)

今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで

74巻9号(2020年9月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅱ)―母体合併症の影響は? 新生児スクリーニングはどうする?

74巻8号(2020年8月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅰ)―どんなときに小児科の応援を呼ぶ?

74巻7号(2020年7月発行)

今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋

74巻6号(2020年6月発行)

今月の臨床 外来でみる子宮内膜症診療―患者特性に応じた管理・投薬のコツ

74巻5号(2020年5月発行)

今月の臨床 エコチル調査から見えてきた周産期の新たなリスク要因

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号 産婦人科処方のすべて2020―症例に応じた実践マニュアル

74巻3号(2020年4月発行)

今月の臨床 徹底解説! 卵巣がんの最新治療―複雑化する治療を整理する

74巻2号(2020年3月発行)

今月の臨床 はじめての情報検索―知りたいことの探し方・最新データの活かし方

74巻1号(2020年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 周産期超音波検査バイブル―エキスパートに学ぶ技術と知識のエッセンス

73巻12号(2019年12月発行)

今月の臨床 産婦人科領域で話題の新技術―時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤

73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

73巻8号(2019年8月発行)

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

73巻2号(2019年3月発行)

今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

73巻1号(2019年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 エキスパートに学ぶ 女性骨盤底疾患のすべて

72巻12号(2018年12月発行)

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

72巻11号(2018年11月発行)

今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

72巻10号(2018年10月発行)

今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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