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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科53巻9号

1999年09月発行

文献概要

今月の臨床 増えてきた子宮体癌 発生の基礎

1.高危険因子

著者: 西谷巖1

所属機関: 1盛岡赤十字病院

ページ範囲:P.1132 - P.1136

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子宮体癌の疫学
 癌の発生は,老化(aging)と密接なかかわりをもっているが,子宮体癌(以下,体癌)も高齢婦人に多発する.高齢化社会の到来によって,わが国でも体癌の増加は急速かつ顕著であり,65歳以上の高齢者が総人口に占める割合も1990年は12.1%,2000年は17.0%であるが,2010年には21.3%,2020年には25.5%とさらに加速すると推定され,とくに女性の増加が顕著である.
 人口動態統計(1998年,厚生省統計情報部)1)によると,癌の年間死亡総数は283,827人(1998年)に達し,前年度より8,414人増加した.このうち,女性の癌死亡総数は111,572人で,3,235人増加し,4,998人の子宮癌死が含まれている.前年度より10人減少している.しかし,これまでの癌死亡統計では,子宮頸癌と体癌とを分けていないので,体癌の正確な死亡総数は明らかではない.わが国の頸癌罹患率(prevalence rate)は,はなはだ高かったが,1965年ころから二次予防としての検診が全国で組織的,継続的に行われるようになり,これによって早期癌の段階で発見し,治療へ誘導されるので,死亡数は明らかに減少してきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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