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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻1号

2000年01月発行

文献概要

連載 OBSTETRIC NEWS

分娩後出血とmisoprostol

著者: 武久徹

所属機関:

ページ範囲:P.84 - P.85

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 Misoprostol(商品名:Cytotec)は,プロスタグランジン(PG)E1アナログで,欧米では胃潰瘍の経口治療薬として販売されている.Misopros—tolは安価のため,米国食品医薬品局(FDA)で許可されているPGゼリーの代わりに,頸管成熟や分娩誘発の目的で使用され(25μg腟内投与),有用性が高いことが示されている.Misoprostolは安全性が証明されていて,吸収はきわめて早く,経口投与後約2分以内に血中で検出され,30分以内で最高濃度になる.経口投与数分以内にきわめて強い子宮収縮作用が現れ,少なくとも2時間持続する(Contemp Rev in Obstet Gynecol p 27,March 1997).数年前からmisoprostolを分娩後の多量出血時に使用し有効であることが証明されている.ロンドンのEl-Refacyらは237例を対象に,児が娩出し,臍帯をクランプした直後にmiso—prostol 600μgを産婦に経口投与した.他の子宮収縮剤は使用しなかったが,助産婦が必要と判断した例では,他の子宮収縮剤が使用された.その結果,分娩後の多量出血(>500ml)は6%,オキシトシン必要例5%,胎盤残留2%,分娩第3期は平均5分であった.分娩後1時間以内の副作用は,嘔吐8%,下痢3%で,約60%に悪寒がみられた(表1).悪寒は分娩後約5分でみられるが,約15〜20分後に自然に消えていく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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