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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻10号

2000年10月発行

文献概要

今月の臨床 女性の泌尿器疾患—最新情報 概説

1.女性下部尿路の構造と機能

著者: 中田真木1

所属機関: 1東京警察病院産婦人科

ページ範囲:P.1166 - P.1169

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膀胱の構造(図)1)
 膀胱は主に内胚葉から発生した袋状の臓器で,やや疎な結合織でできた外膜,平滑筋層,および内面の全体を覆う粘膜の3層からなる.発生学的には膀胱は,両側の尿管開口部と膀胱尿道移行部によって境界される膀胱三角とそれ以外の排尿筋に区分され,排尿筋は全く内胚葉由来であるのに対し,膀胱三角は表層に尿管と共通の中胚葉起源の平滑筋を持つ.排尿筋は蓄尿時には弛緩しており排尿時にのみ収縮するが,反対に膀胱三角は蓄尿時に収縮しており排尿時に弛緩する.尿管開口部から上の排尿筋を膀胱体部と呼び,それより下の膀胱底と区別するが,体部と底の区分は解剖学的ではなく,筋層の走行やレセプターの分布,薬理学的な反応性などの違いに着目した機能的な区分である.
 膀胱は前下方で恥骨裏面に接し,充満時には腹直筋の後面にも接している.後方では下から順に腟,子宮頸部,腹膜に接する.中高年女性ではしばしば,膀胱は子宮頸部の側方から後方の骨盤腔領域を占めるに至る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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