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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻11号

2000年11月発行

今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える

ウイルスの母子感染とその管理

2.B型肝炎

著者: 柳原敏宏1

所属機関: 1香川医科大学母子科学講座周産期学

ページ範囲:P.1274 - P.1276

文献概要

はじめに
 B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)は約3.2Kbの環状2本鎖DNAを有し,ヘパドナウイルス科に属するDNAウイルスであるが逆転写酵素,DNAポリメラーゼ,RNaseの3種類の酵素活性のあるポリメラーゼをもち,感染肝細胞内において逆転写の過程を介して増殖している.感染経路については,HBVは血液,精液,唾液などに存在するため輸血,針刺し事故などの医療事故,母子感染,性行為感染,家庭内感染などがある.HBVの感染様式には一過性感染と持続感染がある.一過性感染ではHBV感染が生じた後に免疫応答が生じてウイルスは排除され,感染防御抗体であるHBs抗体が産生されてくる.一方,持続感染ではHBV感染後もHBs抗体は産生されず,HBVは肝細胞内に長期間寄生した状態となる.成人の初感染による肝炎は一過性の感染で,持続感染へ移行することはほとんどない.持続感染,すなわちHBVキャリアは母子感染と小児期(3歳以下)の水平感染で成立すると考えられ,生涯無症候性のものから,慢性肝炎,肝硬変,肝癌へと進展するものまである.本稿ではHBVの母子感染について管理方法を主に述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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