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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻11号

2000年11月発行

今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える

ウイルスの母子感染とその管理

7.水痘

著者: 渡辺博1 岡嶋祐子1 稲葉憲之1

所属機関: 1獨協医科大学産婦人科

ページ範囲:P.1290 - P.1292

文献概要

ウイルスの性状と臨床症状
 水痘は水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zostervirus:VZV)の初感染により発症する疾患である.VZVは単純ヘルペスウイルス,サイトメガロウイルスと同じくヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスであり,核酸として二本鎖DNAを持ち,エンベロープを有している.水痘は小児の代表的な急性ウイルス性発疹症であり,感染経路は気道からの飛沫感染と水痕部位からの接触感染である.感染が成立すると10〜21日(平均14日)の潜伏期間ののち,38℃台の発熱,倦怠感,食欲不振とともに体幹部に直径3〜4mmの紅斑が出現し,その後全身に紅斑,丘疹が広がり,急速に水疱化する.個々の水疱は4〜5日で痂皮化する.種々の段階の発疹が混在することが特徴で,すべての発疹が痂皮化するまでには7〜10日を要する.臨床症状消失後もVZVは三叉神経節や脊髄後根神経節に潜伏し,個体の免疫状態に応じて有痛性の水疱を形成する(帯状庖疹).成人では85〜90%がVZV抗体を保有しているとされているが,近年妊婦を含む成人の水痘罹患が増加しているという報告1)が見られる.水痘は基本的に予後良好な疾患であるが成人,特に妊婦では水痘肺炎を合併する危険が高くなる.妊娠中の水痘の感染源は家族内感染,特に水痘に罹患した子供との接触によるものが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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