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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻11号

2000年11月発行

今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える

細菌などの母子感染とその管理

1.トキソプラズマ

著者: 小島俊行1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院産科婦人科

ページ範囲:P.1306 - P.1309

文献概要

微生物の性状
 トキソプラズマ症(toxoplasmosis)は,胞子虫類に属する細胞内寄生性の病原性原虫であるToxoplasma gondiiにより引き起こされ,典型的な人獣共通感染症(zoonosis)の一種である.トキソプラズマは,ほとんどすべての陸棲温血脊椎動物(哺乳類,鳥類),一部の爬虫類に感染する.魚類には寄生しない.
 自然水平感染経路はオーシストかシスト(嚢胞)による経粘膜感染(小腸粘膜,気道粘膜,眼瞼結膜)で,小腸粘膜上皮などから侵入する(図1).さらに初期は細胞内のまま血行性およびリンパ行性に,肝・脾・肺さらに全身の各臓器・リンパ器官に播種する.しかし宿主の免疫反応によりタキゾイトの増殖と播種は停止し嚢胞(tissue cyst)を形成する.嚢胞は抗生物質が無効のため,慢性期には,脳・骨格筋・心筋などに嚢胞として永久的に存在する.急性感染を起こした妊婦では寄生虫血症が生じ,タキゾイトが胎盤(絨毛)に感染し増殖し胎児に感染が成立する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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