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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻11号

2000年11月発行

今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える

細菌などの母子感染とその管理

2.リステリア症

著者: 竹田善治1 坂井昌人1 中山摂子1 中林正雄1

所属機関: 1総合母子保健センター愛育病院産婦人科

ページ範囲:P.1310 - P.1312

文献概要

はじめに
 リステリア症はリステリア菌(Listeriamonocytogenes)による感染症である.本邦での年間発症数は20〜601)と報告されており,通常は悪性腫瘍,AIDSなど免疫不全となるような状態でもないかぎり罹患することはまれな疾患である.しかし妊娠中に関しては特殊な免疫状態のため健康妊婦であっても本菌に対しては感受性が高くなるという特徴がある.
 リステリア菌に感染した場合,妊婦の症状は発熱,感冒様症状など比較的軽微で非特異的であるにもかかわらず,児に対しては流早産や子宮内胎児死亡,早期新生児死亡など重篤な合併症を起こす.症状に乏しい感染母体から胎児に経胎盤感染を起こすため,妊娠中の診断が困難なことや,胎児への感染後の経過が非常に急速であることが児の予後を不良にしている要因である.このため本症の迅速な診断・治療が望まれるが,現在のところ母体血や羊水培養などから直接リステリア菌を証明する以外に診断を確定する一般的な検査法はない.リステリア菌は母児感染の原因菌として頻度は少ないが注意すべきものの一つといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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