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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻11号

2000年11月発行

今月の臨床 母子感染—最新の管理指針を考える

細菌などの母子感染とその管理

4.梅毒

著者: 小林範子1 藤本俊郎1 佐川正1 藤本征一郎1

所属機関: 1北海道大学医学部産科婦人科教室

ページ範囲:P.1316 - P.1320

文献概要

はじめに
 近年,特にAIDSを代表とする性行為感染症(STD)が社会的問題と考えられてきている.梅毒も性交による接触感染で始まるTrePonema Pal—lidum(TP)による全身感染症でSTDの代表的疾患の一つであり,他のSTDとの合併も多い.今日では第3,4期梅毒はほとんどみられなくなってきたが,早期顕性梅毒(第1期,2期の最も感染力の強い梅毒)は再び増加の傾向にあり,その半数以上が潜伏梅毒であるといわれている.したがって,症状がなくても検診などで偶然に発見されることも多い.
 妊婦がTPに感染しTPが経胎盤性に胎児に感染すると先天梅毒となる.わが国では現在は妊娠初期の梅毒血清反応検査が普及しているが,検査が普及する以前は,先天梅毒児の出生や,自然流産,早産,死産,非免疫性胎児水腫,子宮内胎児発育遅延,新生児死亡なども認められることが多かった.Mascolaら1)は,妊娠の早期梅毒は未治療の場合,自然流産,死産,新生児死亡のいずれかになる確率が40%,先天梅毒児になる確率が40%であり,正常な児を娩出するのはわずか20%であると報告している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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