連載 産婦人科クリニカルテクニック
ワンポイントレツスン—私のノウハウ
軟性子宮鏡検査における子宮腔内明視法について
著者:
佐藤賢一郎1
水内英充2
所属機関:
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2みずうち産科婦人科
ページ範囲:P.1326 - P.1327
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子宮鏡は,子宮腔内病変に対する有用な診断法の一つである.子宮鏡の歴史は1869年にPantaleoni DCが膀胱鏡を用いて60歳の治療抵抗性の子宮出血症例の子宮腔内を観察したのが始まりとされている.本邦では,1960年代より硬性鏡が開発され使用され始めたが,広く普及するには至らなかった.1980年代にはいって軟性鏡が開発されるに至り,より簡便な操作性と患者への負担軽減から近年,次第に普及しつつある.しかし,軟性子宮鏡では子宮頸管(以下,頸管と略)が狭窄している場合,子宮鏡と頸管が密着し灌流液が子宮腔内に停滞し,出血や浮遊物で明瞭な視野が得られにくいことがある.このような場合の対処法としては,注射器による加圧注入や32%高粘度デキストラン液の注入などが勧められているが有効でないことも多く,またいたずらに疼痛を招く可能性もある.そこで,われわれは本誌53巻3号(1999年)で既報したTCRにおける子宮腔内明視法(ネラトンドレナージ法)を子宮鏡検査にも応用し,良好な結果を得ているのでご紹介する.
方法は以下の如くである.①まず,細径(4〜8Fr)カテーテルを最初に適当に子宮腔内に挿入し,助手が保持するか,または患者大腿部に絆創膏などで固定する。カテーテルのサイズは,子宮鏡が挿入可能な範囲で可及的に太いものとする.②続いて灌流しながら子宮鏡を挿入する.