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今月の臨床 ART最新情報—妊娠率向上のために 凍結・胚移植・着床
4.Vitrification
著者: 向田哲規1
所属機関: 1広島HARTクリニック
ページ範囲:P.1410 - P.1413
文献購入ページに移動 従来の凍結法に代わる受精卵(胚)の超低温保存法として,ガラス化法(Vitrification)が注目されている.ガラス化とは“液体が結晶化することなく粘性が高まり固化すること”を表した用語であり,このガラス化法による凍結は,植氷操作(seed—ing)や緩慢冷却が不要な簡便な方法であるのみならず,細胞内外の氷晶(intra-cellular and extra—cellular ice crystal formation)に由来する物理的・化学的傷害がないため,生存性維持の面からも利点を有しており,既に多くの動物種の胚においてその有効性が証明されている.しかし,高濃度の耐凍剤を使用するため,それによる毒性が細胞に傷害をもたらす点や,その他にも,従来の凍結法と同様に,細胞内凍結,フラクチャー,浸透圧的膨張によっても傷害を受ける可能性がある.これらの要因を最小限にすることによって,優れたガラス化法を確立することができる.現在までに胚のガラス化法に関しては多くの報告が見られるが,研究者によって手法にかなりの違いが見られる.本論文では,ガラス化法の原理について概説し,ヒト受精卵における臨床応用について述べる.
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