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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻2号

2000年02月発行

今月の臨床 ホルモン療法のピットフォール—あなたの方法は間違っていませんか

その他

1.GnRHアゴニストの6か月をこえる投与は

著者: 太田博明1 牧田和也1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.172 - P.173

文献概要

 ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)のアミノ酸配列の一部を置換したGnRHアゴニスト製剤は,子宮内膜症および子宮筋腫の治療薬として近年わが国でも頻用されている.本剤の作用機構は,下垂体におけるGnRH receptorのdown regula—tionにより血中エストロゲンレベルを閉経期に近いレベルまで抑制することにある.そのため子宮内膜症および子宮筋腫に対して治療効果を発揮するが,その一方でエストロゲンの低下により骨代謝に悪影響があることが,欧米では早期から指摘1-3)されてきた.わが国でも1990年代より,エストロゲンが低下する閉経期以降に増加する閉経後骨粗鬆症が注目され始め,GnRHアゴニスト製剤による骨代謝への影響についても考慮されるようになった.
 今日GnRHアゴニスト製剤の投与期間は最大6か月とされている.これは6か月間のGnRHアゴニスト製剤による治療で若干の差はみられるが骨量は最大7〜8%減少4,5)し,治療終了後6か月の時点で完全に骨量が回復する2,3)との多くの報告に基づくものと思われる.しかし治療終了後6か月では完全に回復するとはいえないという報告4,5)もあるため,現時点では6か月以上の長期投与に関してはコンセンサスが得られていない.現在の用量では6か月以上の長期投与が容認される可能性は今後も低いものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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