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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻4号

2000年04月発行

今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ

不妊の原因と検査

8.不育症

著者: 牧野恒久1 杉俊隆1

所属機関: 1東海大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.536 - P.540

文献概要

疫学統計
 “不育症”とは,厳密な定義をもつ医学用語ではない.しいて定義づければ成立した妊娠を完遂できず,健康な生児に恵まれない症例を指すものといえる.一般的には習慣流産を指すことが多いが同義ではない.習慣流産とは3回以上流産を繰り返すことであり,pregnancy lossの時期は妊娠22週未満に限定される.しかしながら不育症といった場合は,妊娠中期以降の子宮内胎児死亡や2回流産を繰り返した場合の反復流産も含まれる.不育症に相当する英語としてrecurrent fetal lossという表現をしばしば目にするが,fetus(胎児)という名称は妊娠10週以後に限定され,それ以前のembryo(胎芽)が含まれないので,recurrent pregnancy lossが適当であると思われる.
 1回の独立した流産の頻度は統計上約15〜20%であり,けっして珍しくない.当教室では,ヒトにおける生殖の効率reproductive performanceを正確に把握するために,体外受精プログラムで胚移植後2週間目に尿中hCGが50IU/l以上であった症例を妊娠と定義して,以後妊娠12週まで毎週経腟超音波検査で追跡して検討した(表1).単胎でも双胎でも,分母を胎嚢数とした場合は20%近い初期流産率であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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