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今月の臨床 子宮頸癌—最近のトピック 治療のトピック
2.初期癌への新しい治療—PDT
著者: 室谷哲弥1
所属機関: 1佐々木研究所附属杏雲堂病院婦人科
ページ範囲:P.777 - P.781
文献購入ページに移動 光線力学的療法は,腫瘍親和性光感受性物質と低出力レーザー照射との併用で,正常組織への障害を最小限にし,主として腫瘍組織を光化学反応によって治療する腫瘍特異的治療法である.本法は,1900年,Raab1)がアクリジン色素と光の併用でゾウリムシに致死的効果を見いだしたことに始まり,1960年,Lipsonら2)が腫瘍親和性の高い光感受性物質,ヘマトポルフィリン誘導体(HpD)を開発し,1979年にDoughertyら3)が乳癌の皮膚転移に対してHpDとアルゴン・ダイ・レーザーを用いてPDT(photodynamic therapy)を始めて以来,欧米で数多くの研究がなされた.本邦でも,1980年より早田,加藤ら4)によって内視鏡下での早期肺癌の治療として行われるようになった.その後,胃癌,食道癌,膀胱癌,子宮頸癌などに応用され,Excimer Dye Laser(EDL)(浜松フォトニクス製)およびPorfimer sodium(PHE:Photofrin®)(日本レダリー)を用いた早期子宮頸癌のPDT療法5-20)は,食道癌,胃癌,早期肺癌とともに,世界に先駆けて,1994年10月に厚生省の認可を受け,1995年4月より薬価に収載され保険の適用となった.また,IHI製の波長可変固体(YAG-OPO)レーザーの臨床治験も終了し,1999年に保険の適用となった.
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