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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科54巻8号

2000年08月発行

雑誌目次

今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩

無痛分娩の歴史と日本の現況

著者: 鈴木健治

ページ範囲:P.974 - P.977

 無痛分娩の歴史は,まさに分娩の態様を定める社会的要因と医療技術の進歩のなかで推移してきた.
 したがってそこには同時代にあっても,地域的あるいは民族的背景も大きく関与している.

無痛分娩法の種類とメリット・デメリット

著者: 島田洋一 ,   菊池三郎

ページ範囲:P.983 - P.987

はじめに
 無痛分娩は欧米を中心としてさまざまな麻酔薬や麻酔法が試みられてきたが,現在では分娩の全経過を通して利用できる持続硬膜外麻酔が最も多用されている.一方わが国では,民族的な思想や医療体制の違いから,麻酔を用いる無痛分娩は未だ広くは普及していない.黒須ら1)や西島ら2)の報告によれば,諸外国の高い比率に比べ,むしろ減少傾向にあるとしている.

無痛分娩における副作用とその対策

著者: 照井克生 ,   川添太郎

ページ範囲:P.988 - P.991

はじめに
 無痛分娩の副作用とは,「無痛分娩によって生じる望ましくない影響」のことであり,本稿では合併症や偶発症を含めて考える.
 無痛分娩を安全に行うための大前提は,適切な患者を選択し,正しい手技を守ることである.これらの点や無痛分娩が分娩経過や新生児に与える影響については,他の項に譲る.本稿では正しく選択された患者に行っても生じうる副作用について,1)母体への副作用を防ぐことがなぜ大切か,2)副作用を防ぐコツ,3)副作用が生じた場合の対処法,について解説する.

硬膜外麻酔の分娩経過に及ぼす影響

著者: 遠藤力

ページ範囲:P.992 - P.995

はじめに
 硬膜外麻酔は血圧低下,嘔気,頭痛などの合併症,後遺症があるが,分娩時の疼痛緩和にもっとも効果があるものとして施行されている.無痛分娩には硬膜外麻酔のほかにさまざまな方法があるが,ここでは硬膜外麻酔の分娩経過に与える影響に関し文献を中心に述べる.

無痛分娩の新生児への影響

著者: 渡辺智子 ,   野渡正彦

ページ範囲:P.996 - P.999

はじめに
 母体における分娩のストレスに伴うカテコラミンの遊離は,子宮胎盤血流の減少を引き起こす.また,分娩時の母体の不安や恐怖に伴う過換気は,胎児への酸素供給を妨げる.したがって,分娩時の疼痛を緩和し,母親の過度のストレス・不安・恐怖を取り除く無痛分娩は,母親のみならず胎児にとっても利点が多いと考えられる.その一方で,怒責不全で吸引分娩に至る危険や麻酔薬による児への影響も懸念される.無痛分娩の新生児への影響について,文献的考察を含めて述べる.

無痛分娩におけるインフォームドコンセント

著者: 久靖男

ページ範囲:P.1000 - P.1002

はじめに
 「小手術はあっても小麻酔はない」これは前大阪大学麻酔科教授 故 恩地先生がよく口にされた言葉である.いかなる麻酔にもリスクがあり軽々に麻酔を行ってはならないといういましめであった.また前大阪大学総長の故 山村先生は「医療は両刃の剣であり,用いる人によって薬にも毒にもなる」といわれ,医師の高い倫理感を望まれた.筆者も若い頃6か月の麻酔科研修を希望したが恩地先生は受け入れられず,2年以上研修して麻酔科医の資格をとること,そしてその間に先生の友人のJ.J.Bonicaの名著“Obstetric Analgesia and Anesthesia”を読了するように勧められた.心臓外科や脳外科の長時間にわたる麻酔をかけながら,この時間が自分にとってどんな意味があるか悩んだこともあったが,この間種々の体験をさせていただき,産科医と麻酔科医としての眼で産科医療をみることができるようになったことを今では深く感謝している.

諸外国における無痛分娩の現状

1.アメリカ

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.978 - P.979

 「(米国で)もし,65歳の人が心筋梗塞で緊急入院すれば,午前2時でも内科医,心臓外科医,麻酔医などのサービスが迅速に受けられる.このようにして救える,この患者の平均余命は5年ぐらいであろう.一方,同じく午前2時に緊急帝切をしようとすれば必ずしも麻酔医はその場にはおらず,いそいでも麻酔医の病院到着までには30分以上はかかってしまうであろう.この場合,緊急帝切によって救える平均余命は児が70年,母親が40年,合計110年にもなるのに」.このエピソードは米国の産科麻酔の現状を語る時によく引用されるものである.なお,米国では無痛分娩と和痛分娩にあたる用語はなく,また両者の区別もない.これらの麻酔は一般的にobstetrical analgesia and anesthesiaと呼ばれている.

2.フランス

著者: 古屋幹郎

ページ範囲:P.980 - P.982

はじめに
 フランス革命200年記念の年の夏(1989年)に初めてパリを訪れ,10日間滞在した.その折に出会ったフランス人や現地在住の日本人がla pér—idurale(英語ではepiduralを頻用)という麻酔の専門用語をよく知っていることに驚き,フランスにおいていかに広汎に硬膜外麻酔分娩(以下,硬麻分娩)が普及しているかを感じ取ることができた.
 その後もいく度かフランス各地を訪れ,個人的に女性通訳をお願いして,産科臨床の現場を見学したり,分娩経験のあるご婦人方から体験談をうかがったりしたが,本誌の性格上,個人的な見聞録を随筆風に綴ることは適切でないと考えるので,まず第一にフランスで発行された妊産婦向けの指導書1,2)の中で無痛分娩がどのように解説されているかを紹介し,次いで昨年麻酔学会への出席のため来日された麻酔科のDr.Dan Benhamouによる「フランスにおける産科麻酔」という,けいゆう病院講堂(横浜,1999年6月8日)における講演の抄録3)を紹介させていただくことによって責めを防ぎたい.フランスと特定した場合,邦人医師による文献は西島ら4)によるもの以外には見当たらないようである.

無痛分娩の実際—私はこうしている

1.硬膜外麻酔

著者: 内山章 ,   庄野秀明 ,   岩坂剛

ページ範囲:P.1003 - P.1006

はじめに
 理想的な無痛分娩は分娩時の痛みだけを取り除き他は正常の経膣分娩と変わらない分娩だと思う.しかし,痛みをとるために妊婦と胎児に悪影響を及ぼすことは避けなければならない.現在のところ硬膜外麻酔による無痛分娩法が最もそれに近いと思われる.今回当科における硬膜外カテーテルを使った無痛分娩法について紹介する.

1.硬膜外麻酔

著者: 村川和重

ページ範囲:P.1007 - P.1010

 無痛分娩,すなわち分娩に伴う疼痛のコントロールは,疼痛管理の上からは術後痛などと同様に急性痛に対する鎮痛法と位置付けられ,鎮痛薬など種々の薬物を用いた疼痛対策が可能であるが,こうした侵害受容性疼痛に最も効果的な除痛法は疼痛求心路の遮断で,その意味では硬膜外鎮痛法はくも膜下鎮痛法と並び,最も信頼性の高い無痛分娩法と言える.
 本稿では,硬膜外鎮痛法を用いた無痛分娩の実際について述べる.

1.硬膜外麻酔

著者: 野田保人

ページ範囲:P.1011 - P.1012

 近年,欧米諸国,特にアメリカ,フランスなどでは分娩の多くが硬膜外麻酔によって行われている.他方わが国においては患者のニーズが多様化し,硬膜外麻酔は多数の選択肢のうちの一つにすぎない.自宅分娩,ソフロロジー式分娩,LDRシステム導入など,どういう分娩形態であろうとも母子の安全が最優先されるべきである.ところで産婦の痛みに対する許容範囲が年々狭くなっているように思われ,そのためにいわゆる自然分娩ではパニック状態となり,分娩経過に支障をきたす症例を度々認める.そこで和痛・無痛分娩の必要性が生じてくるが,心理的無痛分娩は効果の個人差が大きく,薬剤による麻酔分娩は胎児・新生児への影響を十分に考慮しなければならない.

2.バランス麻酔

著者: 天野完

ページ範囲:P.1013 - P.1015

はじめに
 安全であるばかりでなく満足のいく分娩を求める産婦が増加し,分娩の形態は多様化している.無痛分娩による痛みのない楽な分娩もその選択肢の一つであり,今後は希望者が増加するかもしれない.
 無痛分娩には種々の方法があるが硬膜外麻酔(硬麻)の安全性と有用性は実証されており1),筆者も硬麻による分娩管理を行っている.しかしながら無痛分娩を希望しても血液凝固障害など硬麻禁忌例や硬麻を希望しない場合にはいわゆるバランス麻酔を行っている.

2.バランス麻酔—鎮痛剤,麻薬,笑気麻酔

著者: 小倉久男

ページ範囲:P.1016 - P.1018

はじめに
 無痛分娩を希望して来院する妊婦は,痛みに対する域値が高く,また分娩に対する恐怖感が強い人が多い.このような妊婦に対して無痛分娩を行う際には,麻酔方法およびその副作用,効果に対する十分な説明と同意が必要であり,特に分娩経過および痛みに対する基本的な知識を母親学級に参加させるだけではなく,個人的にも説明し,分娩に対する不安や恐怖を積極的に取り払い,薬剤による効果をより高めることが重要である.
 最近は妊産婦の高齢化に伴い合併症の増加や軟産道強靱に対する産道の軟化など,以前にみられなかったことに対する管理が必要となってきている.

麻酔に頼らない和痛法

1.ラマーズ法

著者: 林弘平

ページ範囲:P.1019 - P.1021

自己の安定
 われわれは,眼,耳,鼻,舌,皮膚などから外界の情報,また,内臓などの体内からの情報も神経線維により脳に伝えられている.そして,脳はその情報に対応する中枢を中心に,他の部門と関連しあい,総合して判断を下している.
 脳はそれぞれ異なった遺伝的なもの,胎内とか分娩時の環境,生直後から現在に至るまでの家庭的,社会的環境などの影響のなかで成育している.したがって各個人の脳の判断は各自異なったものになる.つまり各自の顔とか指紋が別のものであるように,脳の判断も同一のものはあり得ない.

2.ソフロロジー法—ソフロロジー式分娩

著者: 松永昭

ページ範囲:P.1022 - P.1024

お産と産痛
 従来お産の現場は,女の修羅場だと言われ,分娩痛が如何に激しいものであるかを伝えてきた.人類産前教育の歴史は,この激しい分娩痛に対して,如何に対処するかの歴史でもあった.
 近代においては,1940年代Dick Readの『恐怖なき出産』に始まり,1960年代になると,パリのラマーズ博士が,ロシアのパブロフの条件反射理論を基礎としたいわゆるラマーズ法を発表した.

3.アロマセラピー

著者: 宮原英二

ページ範囲:P.1025 - P.1028

はじめに
 精油と医療に関しては1937年フランスの化学者ルネ=モーリス・ガットフォセ(Rune-Maurice Gatteffosse)が植物より抽出した精油essential oilに薬理効果があることを「Aromathérapie」というタイトルの本を刊行してからアロマセラピーaromatherapy(芳香医療)という分野の歴史が始まった.その後フランス,イギリス,ベルギーなどの欧州で研究が進められ,アロマセラピーが医療と深くかかわるようになった.
 日本に紹介されたアロマセラピーは,イギリスよりエステなどの美容の一部として紹介されたため精油に関しても品質管理がなされなかったり誤った使用法で問題となった.

4.鍼・灸・TENS

著者: 後山尚久

ページ範囲:P.1029 - P.1032

はじめに
 経腟分娩において,麻酔を行って陣痛の痛みを和らげるものをわが国では無痛分娩あるいは和痛分娩と呼んでいる.この目的は,元来分娩時の強い陣痛による母体の苦痛(精神的,肉体的)を取り除くことにあるが,同時に母児双方に悪影響がなく,順調に起こっている陣痛を損なわないことが要求される.したがって,全身への作用の強い薬剤による全身麻酔や神経ブロックなどの局所麻酔剤の使用は,常に母児の状態を慎重に観察しながら行わなければならない.
 ハリ(鍼)麻酔が中国で普及しはじめて現在で40年ほど経過したが,産婦人科領域でも分娩,帝王切開,人工妊娠中絶術における麻酔や鎮痛の手段として試みられてきた.西洋でもTENS(trans—cutaneous electrical nerve stimulation:経皮電流刺激)による鎮痛が試みられており,鍼や灸と同様の理論基盤を持つ.本稿では,これらの麻酔薬を用いない減痛手段の分娩への応用について概説する.

5.助産ケアによる和痛の工夫

著者: 島田三恵子 ,   安達久美子

ページ範囲:P.1033 - P.1035

はじめに
 産痛緩和は助産ケアの重要な役割の1つである.産痛は産婦にとって苦痛であるばかりでなく,分娩経過にも好ましくない影響を与える.したがって,分娩を安楽に経過し得るよう援助することは安全な分娩に導くことにもなる.特に,薬剤によらない和痛法は産婦や胎児にとってリスクが少なく,身近で実施可能な方法である.これらの方法は産婦の反応を観ながら安楽な方法を経験的に積み上げ伝承されてきたが,近年,産痛緩和方法として有効であることが解明されつつある1)
 助産ケアによる産痛緩和の方法には,1)理学的方法,2)情緒支援,3)呼吸法・弛緩法・集中力の訓練などがある.中でも理学的方法は,医療者がその有用性と方法を理解し,積極的に取り入れて普及することは産婦にとって非常に有益である.そこで,本稿では助産ケアで行われている,体位,指圧法などを含む理学的な産痛緩和法について述べる.

連載 カラーグラフ 知っていると役立つ婦人科病理・14

What is your diagnosis?

著者: 森谷卓也 ,   赤平純一

ページ範囲:P.971 - P.973

症例:24歳,女性
 不正性器出血と月経困難症があり産婦人科外来を受診した.臨床的には子宮下部にポリープ状病変の存在を指摘されている.確定診断の目的で内膜掻爬術が施行された.Fig 1は生検標本の代表的な弱拡大像,Fig 2はその強拡大像である.
 1.鑑別すべき疾患は何か.

病院めぐり

国立岡山病院

著者: 福井秀樹

ページ範囲:P.1038 - P.1038

 岡山は“晴れの国 岡山”として,1年を通して日本で一番晴れの日が多い天地の恵みに溢れたすばらしいところです.地域的にも中・四国の要所にあり,島根,鳥取,高知への連絡は,JRでも高速道路でも非常に便利です.国立岡山病院は県南の人口60万人の県都岡山市にあります.昭和20年当時の陸軍病院より引き継いだ当院は,昭和36年,JR岡山駅より1.5km北の現地に,当時としては最も近代的な病院として移転し,現在に至っています.
 その後,小児医療,地方腎移植および循環器の3センター,臨床研究部が開設され,さらにエイズ治療拠点病院となり,中国地域の基幹病院となっています.ベッド数は585床,診療科は,形成外科が昨年新設されて計23診療科となりました.医師数はレジデント24名,臨床研修医23名を含め110名です.平成4年より,開放型病院として内科,小児科が開放病床を有していましたが,平成11年より産婦人科も参加しています.

横須賀共済病院

著者: 加藤良樹

ページ範囲:P.1039 - P.1039

 横須賀共済病院は,正式名称を国家公務員共済組合連合会旧令病院部横須賀共済病院といいます.同様に旧令病院部に属する病院としては,東京,横浜南,横浜栄,横須賀北部,平塚,呉,舞鶴,佐世保の各共済病院があります.横須賀共済病院の設立は,明治39年(1906年)に設立された旧海軍工廠で働く職工ならびに,その家族を対象とした横須賀職工共済会医院に始まります.終戦後,旧令特別処置法の設置に伴い,現在の国家公務員共済連合会の管理病院となりました.ですから歴史は,ゆうに90年を超えています.
 病院の所在地は,神奈川県の三浦半島の中心部となる横須賀市にあります.横須賀市は三浦半島の約80%近くの面積を占め,横浜市をはじめ逗子,葉山,三浦と4つの市町に接しています.また,日本で最大級の米海軍基地があることで全国的に有名です.

OBSTETRIC NEWS

巨大児の疑いの場合に誘発分娩を行うべきか?

著者: 武久徹

ページ範囲:P.1040 - P.1041

 産科医が恐れている分娩の一つが肩甲難産である.肩甲難産を回避する難しさの原因は推定胎児体重(EFW)の不正確さ,すなわち,巨大児の推測の困難さがある.したがって,EFWに基づく帝王切開(帝切)は,きわめてまれな戦略と考えられている.次の管理方針は,児が大きくなる前に誘発分娩を行うという方法が考えられるが,自然陣痛に比べて誘発分娩自体が有意に帝切率を上昇させるため(表1),巨大児が疑われるとき,または巨大児になる可能性があるときに誘発分娩を行うという選択はまれであった.
 現在までに行われた二つの研究(OG 81:492,1993;Am J Perinato112:63,1995)では,巨大児の疑いのある場合に誘発分娩を行っても,肩甲難産の発症率は減少せずに,帝切率のみが上昇することが示唆されている.

Estrogen Series・43

緊急経口避妊薬—ECP

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.1042 - P.1043

 全く予期しない性行為があった,あるいはコンドームが破れてしまった,こんなときには緊急経口避妊薬(emergency contraceptive pills:ECP)が有効である.性交後72時間以内ならばこの方法により妊娠の75%が予防可能である.望まない妊娠を予防するためにこのような手段は広く一般に知られているべき事柄である.また医師はこの情報に関する情報を患者に平素からよく伝え,必要に応じて患者が使用することできるようにすべきである,と少なくとも米国では考えられている.この方法はemergency contraceptionと言われ,また創始者のカナダ人医師であるDr.Albert Yuzpeの名をとってYuzpe法と呼ばれている.その目的は望まざる妊娠の予防である.

誌上Debate・12

PCOSの排卵誘発は薬剤か,腹腔鏡下手術か

著者: 東敬次郎 ,   角沖久夫

ページ範囲:P.1046 - P.1051

 薬剤多胞卵巣(PCO)症候群では,大部分の例が月経異常を有しており,排卵障害による不妊症が発生しやすい.PCO症候群婦人に対するクロミフェン療法の排卵率は50%程度しかなく妊娠率が低いので,「クロミフェン抵抗性排卵障害」に対する治療法として,①まず手術療法をすべきか,②薬物療法をすべきか,という点で議論が分かれる.本稿では「ゴナドトロピン療法を中心とした薬物療法を手術療法の前に試みるべきである」との主張を展開する.

原著

不妊外来患者の抗核抗体スクリーニングの検討

著者: 横田佳昌 ,   横田美賀子 ,   白取祐子 ,   石川恭子 ,   佐藤節子 ,   槙田まさみ ,   浅田照美 ,   荒木康久

ページ範囲:P.1052 - P.1055

 不妊外来患者の内,ART適応患者を除外した521名の患者の抗核抗体をスクリーニングし検討した結果,抗体価160倍以上の陽性は118名で22.6%(118/521)存在した.続発性不妊症と原発性不妊症の間には差がなかった.
 抗体価320倍以上で妊娠率に差が生じていたが,160倍までは妊娠に影響しているとは思われなかった.640倍以上の抗体保有者の妊娠率を高めるには,プレドニゾロンによる治療が有効と思われた.

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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