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文献概要
今月の臨床 思春期外来—診療上の留意点 思春期の異常とその対応
2.摂食障害
著者: 甲村弘子1
所属機関: 1大阪警察病院産婦人科
ページ範囲:P.1098 - P.1101
文献購入ページに移動はじめに
摂食障害(eating disorder:ED)は思春期の女子に好発する疾患で,神経性食思不振症(anorex—ia nervosa:AN)と神経性過食症(bulimia ner—vosa:BN)に大別される.拒食や過食,自己嘔吐などの食行動異常と共に,さまざまな身体的,心理的,社会的障害を呈する.両者は,症状は極端に異なるが病態の本質は同一であると考えてよい.本症の発症には,学校や家庭での対人関係から生ずる精神的葛藤などが根底に見られることが多く,ANからBNへの移行も少なくない.本症の成立に関与する要因は,病前要因となるリスクファクター,発症の引き金となる発症因子と,発症後維持,増悪させる継続因子に大別される1)(図1).ANの場合無月経は必発であり,産婦人科を受診する機会が多い.
1993年の厚生省研究班の報告2)によれば,摂食障害の発症頻度は10〜29歳の女性の3,000人に1人である.これは300床以上の病院を対象にして調査したものであるが,学校レベルでの調査によるとさらに有病率が高くなる.正確な数字を出すことは難しいが,都市の学校に通う若い女性の大体400〜500人に1人位存在すると思われる.近年の特徴としては,過食症の増加があげられる.1993年の調査では,摂食障害のうち大食型の割合は31%であった.平均発症年齢は,神経性食思不振症では16.9歳であり,神経性過食症では18.6歳である.
摂食障害(eating disorder:ED)は思春期の女子に好発する疾患で,神経性食思不振症(anorex—ia nervosa:AN)と神経性過食症(bulimia ner—vosa:BN)に大別される.拒食や過食,自己嘔吐などの食行動異常と共に,さまざまな身体的,心理的,社会的障害を呈する.両者は,症状は極端に異なるが病態の本質は同一であると考えてよい.本症の発症には,学校や家庭での対人関係から生ずる精神的葛藤などが根底に見られることが多く,ANからBNへの移行も少なくない.本症の成立に関与する要因は,病前要因となるリスクファクター,発症の引き金となる発症因子と,発症後維持,増悪させる継続因子に大別される1)(図1).ANの場合無月経は必発であり,産婦人科を受診する機会が多い.
1993年の厚生省研究班の報告2)によれば,摂食障害の発症頻度は10〜29歳の女性の3,000人に1人である.これは300床以上の病院を対象にして調査したものであるが,学校レベルでの調査によるとさらに有病率が高くなる.正確な数字を出すことは難しいが,都市の学校に通う若い女性の大体400〜500人に1人位存在すると思われる.近年の特徴としては,過食症の増加があげられる.1993年の調査では,摂食障害のうち大食型の割合は31%であった.平均発症年齢は,神経性食思不振症では16.9歳であり,神経性過食症では18.6歳である.
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