icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻1号

2001年01月発行

今月の臨床 性感染症—胎児から癌まで

性感染症と産婦人科疾患

7.梅毒合併妊娠

著者: 辻岡寛1 瓦林達比古1

所属機関: 1福岡大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.48 - P.51

文献概要

 梅毒(syphilis)はスピロヘータ科のTreponemaPallidum(TP)と呼ばれる細菌による慢性全身疾患であり,性行為感染症の代表的疾患である.世界中に広く蔓延したが,戦後のペニシリンの汎用に伴い激減した.わが国でも罹患率,患者数ともに一貫して減少傾向にあったが,1985年(昭和60年)から一時増加傾向をみせ再び減少したものの,過去4年間では横ばいの状態である.1998年の罹患率は人口10万に対して0.4,患者数は553人と報告されている1).梅毒は性病予防法により届出義務があるが,感染の実体を把握することは困難であり,実際の患者数は報告されている数字とはかけ離れていると考えられている.近年の性行動の多様化をみると今後の動向に注意が必要な疾患の一つと言えよう.妊娠との関連については性病予防法第9条で妊婦に対する梅毒検査が義務化されており,現在原則として妊娠初期に梅毒血清反応検査が公費で行われている.梅毒の妊婦への感染は胎児の発育に重大な障害をきたすが,治療法が確立され,治療に対する反応も良いため,早期に診断し適切な治療をすることが重要な疾患である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら