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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻1号

2001年01月発行

文献概要

今月の臨床 性感染症—胎児から癌まで 性感染症と産婦人科疾患

8.母子感染—HIV

著者: 戸谷良造1

所属機関: 1国立名古屋病院産婦人科

ページ範囲:P.52 - P.57

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はじめに
 ヒトの性行為は種の保存に必要である.この行為により基本的遺伝情報の次世代への伝達がなされるとともに,各世代ごとの環境の変化に対応した遺伝情報の取捨選択がなされる.しかし,その生物にとって有益な情報のみを選択した結果とならない場合もある.母子垂直感染を伴うSTDによるウイルス感染の一部も次世代の固体にとって有益とは言えない情報伝達の一つである,これらの生物学的な負の情報伝播の一つにHTLV−1などによる母子垂直感染がある.もちろん,感染症の伝播は遺伝とは全く異なるが,感染児から見て負の情報の一つと受け止めてもよかろう.
 性感染症(STD)は,旧来の性病の認識から,HTLV−1ウイルス感染,C型肝炎ウイルス感染など,多くの経粘膜感染症をも含めた,幅広い疾患群へと解されるように大きく変化した.病原体も原虫,細菌,ウイルスにいたるまで実に多彩である.性行為により性器に感染初期病変をもたらす疾患のみならず,HTLV−1,HIV−1による感染など,初期感染症状が性器に病変をもたらさなくても性行為により伝播される疾患も含まれるようになった.その一つにHTLV−1がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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