文献詳細
今月の臨床 ライフスタイルの変化と女性の健康
ライフスタイルの変化と悪性腫瘍
文献概要
はじめに
子宮体癌は近年増加傾向にあると言われている.筑波大学でも1985年に13.6%であった子宮体癌比率(子宮体癌症例数/子宮癌(体癌+頸癌)症例数)が1999年には36.4%に達している(図1).子宮体癌はエストロゲンの持続刺激により子宮内膜増殖症を経て発生・進展するtype Iとエストロゲンに依存しないtype IIに分類できる.最近の女性のライフスタイルの大きな変化として,社会進出などに伴う結婚の高齢化と少子化がある.結婚の高齢化は妊娠・分娩時期を遅らせ,また無排卵に気づく機会も遅れることになりやすい,少子化は,結婚の高齢化とも関係があるが,それ以外の要素も関係している.Type Iの子宮体癌,特に40歳未満の若年性子宮体癌では,無排卵,未妊・不妊・未産などのunopposed estrogen状態(progesteroneによる拮抗がない状態)が関与していることが多い.その他,食生活の欧米化によって肥満が増加していることも,エストロゲン支配を強くしている一因であろう.
本稿では女性のライフスタイルの変化と関係の深い因子と子宮体癌発生について考察する.
子宮体癌は近年増加傾向にあると言われている.筑波大学でも1985年に13.6%であった子宮体癌比率(子宮体癌症例数/子宮癌(体癌+頸癌)症例数)が1999年には36.4%に達している(図1).子宮体癌はエストロゲンの持続刺激により子宮内膜増殖症を経て発生・進展するtype Iとエストロゲンに依存しないtype IIに分類できる.最近の女性のライフスタイルの大きな変化として,社会進出などに伴う結婚の高齢化と少子化がある.結婚の高齢化は妊娠・分娩時期を遅らせ,また無排卵に気づく機会も遅れることになりやすい,少子化は,結婚の高齢化とも関係があるが,それ以外の要素も関係している.Type Iの子宮体癌,特に40歳未満の若年性子宮体癌では,無排卵,未妊・不妊・未産などのunopposed estrogen状態(progesteroneによる拮抗がない状態)が関与していることが多い.その他,食生活の欧米化によって肥満が増加していることも,エストロゲン支配を強くしている一因であろう.
本稿では女性のライフスタイルの変化と関係の深い因子と子宮体癌発生について考察する.
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