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今月の臨床 妊娠中毒症—新しい視点から 概念と定義の変遷
2.日産婦の定義と解説
著者: 木下勝之1 竹田省2
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター産婦人科 2埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター
ページ範囲:P.110 - P.113
文献購入ページに移動わが国の産婦人科医にとって,妊娠中毒症という診断名は馴染み深く,妊娠中毒症が重症化すると母体に重篤な合併症が発生し母体死亡につながること,また胎児では,胎児発育不全や子宮内胎児死亡,さらに新生児の長期予後も問題となる場合があることをよく認識している.
しかし,妊娠中毒症という名称はその病態を反映していないこと,さらに欧米ではすでにtox—emia of pregnancyが過去の診断名になっていることも理解している.したがって,今日では妊娠中毒症にかわる適切な診断名が求められているが,病態も症状もすべてを満足させることのできる名称を考え出すことが難しく,欧米に準じた単純化された診断名の出現が待たれる.
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