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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科55巻2号

2001年02月発行

今月の臨床 妊娠中毒症—新しい視点から

新しい病因・病態論

1.免疫学の視点から

著者: 藤井知行1

所属機関: 1東京大学医学部産科婦人科

ページ範囲:P.114 - P.119

文献概要

はじめに
 妊娠中毒症はわが国では,「妊娠に高血圧,蛋白尿,浮腫の少なくとも1つ以上の症状がみられ,かつ,これらの症状が単なる妊娠偶発合併症によるものでないもの」と定義されている.その病態は複雑で(図1),従来,学説の疾患とよばれており,発症機序も明らかにされていなかった.しかし最近,妊娠中毒症の本態を血管の病気ととらえ,発症の流れを説明する考えが有力になってきた(図2).すなわち,妊娠初期に何らかの原因により,絨毛細胞の増殖障害や胎盤の血管系の構築障害が発生すると,胎盤が正常に形成されず,その後の妊娠経過において胎盤が虚血状態に陥るようになり,絨毛細胞から種々の血管作動物質が放出されるようになる.この血管作動物質が全身の血管において,その内皮細胞の傷害をはじめとする血管の異常を引き起こし,妊娠中毒症が発症すると考えるのである.この病態発生の流れの最初を成す原因は未だ明らかでないが,その一つとして近年,母児間免疫応答の異常が注目されるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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